長生きするためのウオーキング量 1日1万歩の数字は妥当?

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米医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」に先日発表された調査は、1万歩ウオーキングをすることの効果と、この実は非常に恣意(しい)的な数字が調査対象となった女性グループの寿命に影響を与えるかどうかを分析した。

研究者らは、72歳以上の1万6000人以上の女性を、2011~15年の間の7日間にわたり調査した。研究者らは、1週間で歩いた歩数を測るウエアラブル(体に装着できる)装置を対象者全員に与え、歩いた歩数データを調べるとともに、その後5~8年間の全死因死亡率との関連を調べた。

調査結果では、1日に歩くべきとされる1万歩ではなく、4400歩以上歩いていた女性の間で全死因死亡率が減ったことが分かった。また研究者らは、女性が1日に歩く歩数と死亡率の関連性は7500歩ほどでピークを迎え、それ以上歩くことと死亡率の低下には相関関係は見られないことを発見した。

確かにこの調査には、いくつか欠陥がある。1つ目は、歩数計測の正確さだ。またもう一つの問題として、歩いた歩数という生活様式のたった一つの側面を、1週間という比較的短期間で測っていることがある。しかし、調査対象者が非常に多いこと、追跡期間が最大8年と長いことから、このデータにはある程度重みがある。

1日に歩く歩数を健康と結びつけて考える概念は、新しいものではない。健康に関する複数の調査においては、アーミッシュ(主にペンシルベニア州、オハイオ州、またカナダ・オンタリオ州の一部に居住している結束の強いコミュニティー)が数十年の間、食生活や遺伝的特徴、生活様式、運動などの見地から調査対象とされてきた。米医学誌の、スポーツと運動における医学と科学(Medicine & Science in Sports & Exercise)に2004年に掲載された調査では、アーミッシュの1日の歩数を調べている。その結果、男性は1日に平均約1万8000歩、女性は1日に平均約1万4000歩を歩いていた。

アーミッシュは、ケールチップスを食べたりコンブチャを飲んだり、ピラティスの授業を受けたりしないし、食事量が多いことで知られているが、それでも肥満率と心臓病が非常に少ない傾向にある。
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翻訳・編集=出田静

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