シティ派なお墓?眞敬寺が切り開く「お坊テック」の新境地

満照山眞敬寺の釋朋宣住職


最初はハローワークやお寺の人材サービスなどで採用募集をしていたが、なかなか集まらなかった。そこでリクルートスタッフィングに問い合わせたところ、専門スキルを生かして時短で活躍する働き方「ZIP WORK」を知り、活用することに。一見お寺人材とはかけ離れたイメージだが、条件としたのは次の2つ。

・エクセルのアプリケーションソフトの拡張機能VBAが使える人
・男女問わず、時短で働きたい人

今ではIT企業でシステム管理の経験を持つ女性が派遣社員として週4 、5日10〜18時に勤務している。

「以前からいる職員たちがびっくりしていますよ。ソフトによって、お名前を聞けば、一発で顧客データを検索できますから」

職員は清掃などのパートタイマーを含めて10人ほど。室内墓のモニターに映し出す故人の画像のスライドショーの作成なども職員が手掛ける。

住職にお寺向きの人材について尋ねると、「真面目で清潔感がある人。また熱意があっても、淡々と仕事を進められるタイプ」と言う。

そう言う自身は、相当「クリエイティブな住職」と言えるだろう。

快適な空間設計

住職は「実はインテリア好きで、とことんこだわるタイプなんです」と笑う。

お寺の内装設計には女性のスペシャリストの視点を入れて作り込んだ。

全体のコンセプトは「光と出遇うことを願って」。住職は「日常生活は自分の視点で見ているけれども、仏様のまなこから見たらどう見えるのか。光とは真実(本当のこと)なのです」と解説する。さらに続けてこう言った。

「今日は雨が降ってますよね。嫌だなと思う人もいれば、お庭の水をやらなくてよかったと思う人もいる。人間の都合によって捉え方はそれぞれですが、良し悪しではないんです。多角的な視野で見られたら、人生をもっと楽しめるかもしれません」

実は、最初に衝撃を受けた寺のエントランスには、受付の背景に錫板のしつらえ「無量光」が飾ってある。そこに込めたのは「量ることのできないほどにあふれる光、光の集合体。その場所にいたからこそ見ることができる、自分自身の心を映し出す光に出会っていただけたら」という思いだ。

内装には都会にありながらも「安らぎを感じられるように、落ち着いた空間」を心掛けた。窓からはスカイツリーが見え、土壁や木材のテーブルなど自然素材をふんだんに使っている。

授乳室やトイレも写真のように、心温まるしゃれた空間だ。


女性の視点を生かした温かな雰囲気の授乳室


トイレの壁はフロアごとに変え、モダンな雰囲気に
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文、写真=督あかり

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