古着の販売を専門に行うeコマースサイト、ザ・リアルリアル(The RealReal)やポッシュマーク(Poshmark)、スレッドアップ(ThredUp)などは、このビジネスから大きな利益を得ようとしている。
ファッション評論家のバネッサ・フリードマンは米紙ニューヨーク・タイムズの記事で、「古着の売り上げが伸びていることを考えれば、なぜ全てのブランドが自ら再販を行わず、自分たちのブランド名で他の小売業者が利益を上げることを許しているのだろうかと考えずにはいられない」と疑問を投げかけた。
だが、答えは簡単だ。中古品を買い戻し、手入れをし、そして販売するためのインフラを構築することは、全く別の事業だからだ。ブランドの既存のビジネスモデルでそれを行うことは難しいか、または不可能なのだ。
持続可能な産業へ
ブランドによる商品の再販を支援する米ヤードル(Yerdle)は、小売大手ウォルマートの初代のサステナビリティ(持続可能性)責任者を務め、同社のeコマース戦略と自社ブランド、オムニチャネルの取り組みを主導してきアンディ・ルーベンが設立した企業だ。
アウトドアブランドのパタゴニア、アウトドアグッズのREI、アパレルブランドのアイリーン・フィッシャーやテイラースティッチなどと契約するヤードルは、各社の中古品を買い取り、処理し、価格を設定。ホワイトラベルのプラットフォームを利用し、各ブランドが中古品を販売する自社ウェブサイトとして運用するための支援を行っている。
ルーベンはアパレル業界について、次のように語る。
「過去50年間、ブランドは新たな商品を生産し、販売することを考えてきた。それは、マーケティングと規模の経済性に基づいたものだ。だが、オンライン(販売の登場)がその全てを変化させた」
「企業が商取引を行うことで生き残っていかれる時代はもう過ぎ去った。企業は顧客との関係を構いていかなければならない」
持続可能な循環型ファッションという観点から自社のビジネスを思いついたというルーベンによれば、「アパレルメーカーは毎年、約70億人のためにおよそ1000億着を生産している」。そして、米環境保護庁(EPA)によると、過剰に生産された衣類の大半(約4763トンの生地)は、埋め立て処分されている。