遠足の「おやつ交換」から、過去の失敗に学ぶ大切さを知る

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次女は前述の通り、チョコボールと容器に入ったラムネ菓子を持ってきていたため、おやつ交換は大変そうだった。なぜなら、次女からお菓子をもらった子たちはその場で食べなくてはいけないのだ。ラムネはまだしも、チョコボールは手で握ったままだと溶けてしまう。一方で、長女はたくさんの友達とお菓子を効率よく交換している。パックの中には個別包装されてるラムネが入っているので、お菓子をもらうと同時に渡せるし、自分ももらったお菓子をラムネと入れ替える形で、どんどんパックに入れていく。

おやつ交換が終わって筆者のもとに戻ってきた長女の持っているパックの中身を見ると、残ったラムネ以外は友達からもらったチョコやクッキー、グミや飴などが入っていた。見事にお菓子の種類が分散されている。おやつを買いに行った時に覚えた違和感は筆者が長女の戦略を見抜けていなかっただけに過ぎなかったことを理解した。

失敗は成功の母

恐るべし、最近の幼稚園児。誰に習うこともなく、どのようにしてこんな戦略を思いついたのだろうか。長女に話を聞いてみると、去年の遠足の時は今回の次女のようなお菓子のチョイスをして失敗したから、今年はその反省を活かしたのだという。未就学児でもここまで学習能力が高いのかと驚かされた。やはり、いつも子どもの可能性をつぶしているのは大人なのかもしれない。

筆者のライフワークである子ども向けの金融教育の内容も、今回の経験をふまえて、少し実践的なワーク形式の内容も増やしていき、積極的に失敗も経験できるようにすべきだと感じてしまった。

資産運用をしていく際に、長期・分散・積み立てという3つの要素で話をする機会が多いが、最初から方法論として分散することを教えてしまうよりも、分散しなかった場合にどういうことが起きるのかを、言葉で説明するだけでなく、実体験してもらえるような仕組みを用意した方がいいのだろう。過去の記事でも書いたことはあるが、実際に分散の重要性、ポートフォリオ効果を学ぶ機会は日常生活の中でも存在している。失敗体験をさせたうえで、それでは正しい選択肢はなんだったのかを教えることが最も求められているのかもしれない。
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文=森永康平

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