ビジネス

2019.06.27

昆虫市場に挑むスタートアップ、目指すは「世界と戦える企業」

写真提供=MUSCA


ムスカの事業を通じて解決できる環境問題は多岐に渡る。その地球の環境自体にも興味を持ってもらうために、「昆虫」という生物を使った事業であることを明確に打ち出すことで、世の中の機運を高めることができる。昆虫テクノロジーの中でもウェイストマネジメント業界であるムスカは、地球規模での環境問題を伝える義務があり、発信していかないといけないと流郷さんは言う。

「正しい未来」にバトンを繋ぐために



最後に、ムスカの今後のビジョンについて聞いてみた。

「最低限、世界と戦える企業になること」

世界の昆虫市場は立ち上がったばかりで、世界地図に色を塗っていく陣取り合戦がまさに始まろうとしている。今後、昆虫産業が拡大していく中で意見を言える存在になっている必要がある。そうしないと世界を変えることはできない。

「飢餓のない世界の実現のためとはいえ、地球環境をさらに破壊することは絶対にやってはいけない。食料問題は地球の健康を守りながら解決できる。そのことを発信できる立ち位置にいたいし、それによって昆虫産業を盛り上げていきたい」そう流郷さんは語ってくれた。

これまでの矛盾を正すことはできないが、正しい未来を指し示すことはできる。そのためには過去の負債を受け入れ、少しでも減らした状態で未来を創る人にバトンタッチする必要がある。流郷さんのこの考え方は、すべてのスタートアップ・新規事業でも意識しなければならないと思うし、その考え方自体が新しい事業のきっかけにもなり得ると感じた。

冒頭にも述べたが、新規事業の開発はいつも多くの困難が立ちはだかる。その困難を乗り越えて前に進む上で「正しいことをしている」という自信は強い後押しになる。まだリアルなユーザーの姿が見えていないフェーズでも、事業を通して必ず世の中を良くするんだという想いが迷いのない一歩に繋がる。

ムスカの挑戦は始まったばかりだが、目指すべき未来をしっかりと見据え、着実な一歩を踏み出している。

連載:ゼロイチの創り方を考える
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文=入澤諒

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