リクルートマーケティングパートナーズが2019年に発表した同社のオンライン英語学習サービス『スタディサプリ ENGLISH』のユーザー調査では、実際の学習時間が理想より少ない人の割合は全体の68.8%に上った。とはいえ、多忙な社会人にとって学習に割ける時間は限られている。上記は英語学習者のみを対象にした調査だが、他のスキルについても「勉強しなくては……」と思っているもののなかなか行動に移せていない人は多いだろう。
そんな中で「現代はますます自主的な学びが必要な時代になっている」というのは、グロービスでデジタル・テクノロジーを核とした新規事業を創出する部門「グロービス・デジタル・プラットフォーム」のプロダクトリーダーを務める鳥潟幸志だ。彼は同社の教員や、動画学習サービス「グロービス学び放題」でのプロダクトリーダーでもある。
現代のビジネスパーソンに求められる「自主的な学び」とは。そして、どうすれば学習を継続し、仕事の成果につなげることができるのか。鳥潟に聞いた。
自分で課題を見つけ、決断するための学習が求められている
グロービスでグロービス・デジタル・プラットフォームのプロダクトリーダーを務める鳥潟幸志
──現代のビジネスパーソンにとって、より自主的な学習が必要になっている背景を教えてください。
勉強した方が仕事で有利になるのはもちろんですが、社会や組織の構造が変化した現代では、ますます自主的な勉強の重要性が増していると考えています。現代は「VUCA」な時代だといわれています。これはVolatility(変動性)Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の略語で、先が見えないカオスな時代だということです。
時代の変化に沿って、「グロービス学び放題」の受講者が求める内容も変化しています。近年は資格取得のためではなく、実務に直結する「実践的な学び」に取り組む人が増えているのです。
以前はマーケティングならマーケティングのみ、経理なら経理のみというように部門ごとににやるべきことがハッキリしていましたが、前線のスタッフが自分で課題を発見し、判断しなければならない。そこで必要なスキルを身につけ、自分の力で意思決定まで行うようになっています。
「統合的な学び」も大切です。営業担当者はプレゼンスキルをもつだけではなく、自社の商品が顧客の経営課題にどのように影響するかまでを深く理解しなければ、なかなか顧客に訴求できません。そのためマーケティングや財務など、組織や経済全般に及ぶ広い知識を学ぶ重要性が高まっています。