フォーブス ジャパンウェブ編集部 エディター


──他の組織との協業だけではなく、社員の意識改革も必要なのではないでしょうか。大川さんは経営者という立ち位置で、気づいたことはありますか?

大川:
カリスマ経営者だったら成立しますが、やはりトップダウンには限界があります。

必要なのはボトムアップ型。従業員さんだけでワークショップをしてもらうのがいいですよ。みんな楽しんでやってくれます。なぜかと言うと社長が参加していないから(笑)。後ろの方で見ているだけです。

社内でうまくいっていること、うまくいってないこと、これからやりたいことを議論して、そこで出たアイデアを実行に移す。実際、インターンの学生さんの意見が形になったこともありました。社員全員の「やらされ感」をできるだけなくし、「他人事ではなく自分事」にしていくことが重要だと気づきました。

──社員である普川さんは、どう経営者の方を巻き込んで取り組みを推進しましたか。

普川
:豆かすのリサイクルを始めようとしたとき、私含めて4人の役員直属のチームにいたのですが、ありがたいことに役員も最初から一緒に考えてくれて。他の役員を説得してくれました。

役員にもチーム全体にも、「いざやるとなったら従業員全員が自分ごとに思わないとうまくいかない」という共通認識があったのは大きかったですね。

また、環境「教育」というとおこがましいのですが、なんのための取り組みなのかを丁寧に伝えることも大切だと思います。

当時はまだ800店舗ぐらいだったので、エリアごとに全店長が集まる店長会に手分けをして参加しました。地球温暖化や気候変動が進むと、その影響で私たちが扱うコーヒーが生産できなくなる可能性もあるという、環境問題がビジネスに直結している事実を伝えることができたと思います。

店舗で豆かすをリサイクルしようとすると、分別や水を切ったり、袋に入れたり細かい作業がどうしても増えてしまう。だから従業員の理解を得ないことには、企業でリサイクルなんてできません。自分ごととしてどう考えてもらうがキーになると思います。

──抽象的に「いいことをしよう」というのは実現が難しいから、自分たちの職場環境が良くなるとか、自分への直接的な影響を認識するって大事ですね

大川:予期せぬことだったのですが、石油系溶剤を含まないインキに切り替えたら、ある従業員さんに「社長、工場の環境が良くなりました。空気が全然違う」って言われたんです。

今でこそ、印刷業界の環境に対する取り組みは進んでいるように思われていますが、私どもの従業員さんが他の印刷会社さんに研修や見学に行くと、「早くうちの会社に戻りたかった」なんて言うぐらい、空気が違うようなんです。

皆さんが手にする印刷物も、実は化学物質過敏症の方は触れられない印刷物もあったりするから人ごとではありません。従業員さんが実感すると全然違いますね。

構成=守屋美佳

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい