Fintechの次に来る、ReTechという大きな波
──まずReTechサービスに参入したきっかけをお聞かせください。
間違いなくトレンドが来る、と思ったからです。
インターネットが勃興した1990年頃から20年間は、基本的にネット内だけで完結するサービスが主流だったのに対して、2013年に日本にFintechブームが巻き起こってからは、「ネット×リアル」のX-Techビジネスが盛り上がり始めています。
とはいえ市場を俯瞰すると、Fintech領域では既に400~500社ぐらいの企業がしのぎを削っており、競合がすごく多い。また、一流金融会社出身のイノベイティブなマインドを持つ方々が多く起業しているということも見えてきました。またリアルな場や商品を持たなくていいのでIT系の企業も参入しやすいですよね。伸びているけどコンペティターが多いので、最初の事業では大変だなと思いましたね。
そんな市場環境を見た時に、市場が伸び、かつ勝てるのはReTechだろうと考えました。
私は、孫正義さんのおっしゃる「シェアNo.1獲得戦略」が好きなんです。勝たないといけない時は、きれいごと抜きで勝たなければいけない。
アメリカ、中国、日本のIT系企業のガリバーは、グーグル、アリババ、楽天ですよね。これらの企業は、1995年から2000年前後にインターネットのトレンドに乗り、急成長してきたと思います。そうした結果からも、時流を読み、No.1を獲るということはとても重要なことだと思っています。
──ReTechならNo.1になれると考えられたということでしょうか?
ReTechにおいては宅建業法という免許の問題や、超高額商品ということもあり、リアルビジネスが必要不可欠です。ゆえに、IT畑の人が参入しようとしても、専門性が異なり、リアルも持たなければならないので、かなり手間がかかってしまいます。そんな面倒なところには参入したがらないですよね。
また、不動産業界の方々の特徴として、テクノロジーを活用してイノベイティブなことをしたいと考えている人は金融業界ほどは多くないんです。多くの不動産マンは「お金を稼ぎたい」「マンションを作ってみたい」「都市開発してみたい」といった考えを持っています。だから、ReTechに関心を持ちにくいのです。
そうなると、私たちにとってはブルーオーシャンになります。さらに、マーケットも大きく、「ネット×リアル」の時流にもマッチしている。このような理由から、不動産×テクノロジーで勝負することを決意しました。実際に、現在でもReTech事業を営む会社は50〜60社ほどしかありません。