参加者の5割は海外から 学生運営のハッカソンで生まれた3つのユニークなアイデア

東京・晴海で開催された「Junction Tokyo」


顔認識を活用して、行方不明者を効率的に探す

「AI FOR HUMANITY」は9・11によって行方不明になった動物を見つける際に使われた捜索技術のAPIを活用し、顔認識を使用して行方不明者を追跡するアプリ「Trakr」を開発。

ポスターを貼る、警察に行く、SNSを活用する、といった方法で行方不明者を探すのは非効率的で、時間がかかりすぎてしまう。その課題を解決するべく、より速く、より正確な検索が可能になる「Trakr」を開発したという。

字幕スクリプトを表示して、ユーチューブでの英語学習を効率的に


「API HACK」で勝者になったのは、「Rakuten Rapid API palette」を活用した英語学習者向けのアプリケーション「Hack English with YouTube」。

昔は単語帳などの教材を使って英語を勉強するのが一般的だったが、最近はユーチューブの動画を観ながら英語の勉強をする人も増えている。ユーチューブを使った勉強法は非常に便利な一方で、知らない単語が出てくる度に動画を止め、単語帳を開く事態に陥りがちだ。

そんな面倒な手間を解決するために「Hack English with YouTube」は開発された。このアプリを使うことで、字幕スクリプトで単語をチェックできるようになるため、動画を止めることなく英語学習を続けることができる。

ゲーミフィケーションでリサイクルを促進

「SMART MEDIA」ではリサイクル問題に目を向けたアプリが勝者に輝いた。現在、捨てられるゴミの約75%がリサイクル可能と言われているが、実際のところ約30%しかリサイクルされていないという。リサイクルしない理由のほとんどは「リサイクルは面倒で、時間と労力がかかるから」というもの。

その課題をテクノロジーとゲーミフィケーションを使って解決すべく開発されたのが「Trash Hunt 」だ。ユーザーは「Trash Hunter」と呼ばれ、リサイクルされた商品の数に応じてランク付けされていく。このような競争の仕組みを設けることで、リサイクルに対するモチベーションを高め、リサイクルされる社会の実現を目指すという。

最終的には英語学習者向けのアプリケーション「Hack English with YouTube」が最優秀賞に輝き、2019年の「Junction Tokyo」は幕を閉じた。アフターパーティーも海外のクラブのような雰囲気で、これも日本の一般的なハッカソンとは一線を画しているなと感じた。

Slushと同様に「Junction Tokyo」の運営メンバーは学生のボランティアだけだが、年々、規模は拡大している。来年はどういった形になるか、まだ具体的なことは何も決まっていないそうだが、海外の人と日本の人が半分ずつ参加するハッカソンは珍しい。

日本と海外、両者のコラボレーションによって新たなイノベーションの種が生まれる動きに今後も期待したい。

文=新國翔大 写真=Junction Tokyo提供

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