「いつか現地を訪れることを願って」 難民を友人のように受け入れるNPO法人代表のファッション哲学 #UNDER30STYLE

WELgee代表 渡部清花


━昔から好きなファッションは変わっていませんか?

物心ついた頃から、好きな洋服のテイストは変わっていません。「エスニック」はあまり適切な言葉だとは思わないのですが、日本から遠く離れたアジア、アフリカ諸国を思わせるデザインにはずっと惹かれていました。

先ほど紹介した一着もそうですが、遠い国の風景が目に浮かぶ服やアイテムが好きなんです。例えばこれ、なんだかわかりますか?



一見、竹の棒と布だけの旗のようにも見えますが、きちんと団扇の役目を果たすんです。(片手で持って頭上で回しながら)こうすると私だけじゃなくて周りの人にも風が行き届いてみんな涼しいんです! バングラデシュの家庭では、一番回すのが上手なおばあちゃんが、食事をしながら家族のために回し続けるんです。とにかく夏は暑いので。日本にはない日常の風景ですよね。

━世界各国の人が集まる渡部さんの運営されているシェアハウスには、今どのような方々が住んでいるのでしょうか?

今年4月から板橋で「日本福音ルーテル社団」との協働事業として「TOKIWA(トキワ)」というシェアハウスの運営を始め、私もそこに住んでいます。ここでの目的は、日本に逃れた難民たちが、自分らしく「働く」最初の一歩をつくることです。


TOKIWAでのワークショップの様子。

日本は、難民として認められる基準が非常に厳しいです。認定されるまで待つ期間も、公的な難民キャンプや難民シェルターもない。最初の半年は、生き延びるための仕事も許可されない、もっとも厳しい時期にあたります。

日本にいれば強制送還こそされませんが、能力を持っているにも関わらず、暮らす場所の不安、祖国の家族の心配、将来への不安などから、「頑張りきれない」難民も多く、就職活動をしても、社会的なレッテルや日本語が十分でないことから結局、雇用契約書がなかったり、労働基準法が全く遵守されていなかったり、怪我をしても労災がきかないような現場で働かざるを得なくなってしまうことが多いのも事実です。

ここでは最長1年間住むことのできるルールを設け、期間内に彼らのスキルや経験をいかした就職活動を支援することでポジティブな「シェアハウス卒業」を目標にしています。

実は千葉にも1つ、空き家を購入してDIYをして作ったシェアハウスがあります。
そこは就活支援を目的としておらず、近所の人たちが食べ物やモノを無償でくれたり、支え合って生きていく環境があります。応援してくださる人仲良くなって、車をもらったこともありました(笑)。
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構成=裵麗善(ぺ・リョソン)写真=藤井さおり

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