同社は2016年、テンセント出身の創業者たちによって深センで誕生した。「エバンジェリスト(Evangelist)」というのは、みなが目指す頂上に向かって先導するという意味の言葉だが、その先導者たるスタッフは、現在、本社だけでも400人を越える。中国、香港、シンガポールなどに6拠点を持ち、欧州、そして日本へも進出を予定している急成長企業だ。
ズイウイ・テクノロジーのスタッフ
彼らの特徴は、AI分野のなかでも、自然な対話能力を高める技術(Natural Language Processing、NLP)において中国トップクラスの技術を持っていることだ。AIと人間が、自然に、感情も理解した対話をするための革新的技術を突き詰めている。
ZhuiYi Technologyは、その技術を駆使して、クライアントに合わせてフルカスタマイズした、リアルなコミュニケーションサービスを提供している。現在、国内の主要銀行やホテルをはじめとして、500以上の取引先、700万人以上のユーザーへの提供実績を持つ。
AIが電話発信して、延滞者に督促
では、具体的にどのようなサービスを提供しているのか、日本市場でも活用できそうな例を2つ紹介しよう。
まず、金融機関での事例だ。多数のオプションがあるが、私がいちばん驚いたのは、AIが、新入社員のサポーター兼トレーナーをしてくれることだ。過去の対応記録や蓄積された情報から学び、顧客の発言に応じて、その都度、最適な対応を提案してくれる。また担当者の会話の「間」や「感情」なども察知して、「何秒後にこの返答すれば解決に繋がる」などと具体的なアドバイスもくれる。
AIが自ら電話発信をして、クレジットカードの支払延滞者に督促をしてくれるというケースもある。相手の感情や発言に対して、相槌も挟みながら、自然なテンポと会話の流れで交渉を導いていく。その結果、コールセンターの業務効率化が図れることが実証されている。
例えば、SV(管理者)と15人のスタッフのコールセンターの場合、SVとAIボット、AIトレーニー、そして3名のスタッフで、同じ業務に対応可能となり、人材不足と人材定着の同時解決にも繋がる。