ヴィースは2009年にも1億2500万ドルを同大学に寄付し、彼の名をとったヴィース研究所(Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering)を設立したが、今回の資金はその活動に注がれる。
ヴィースは20億ドル以上の資産を持つ寄付財団を運営しており、ヴィース研究所とハーバード大学に総額4億ドル以上を、今後の数年間で寄付していくことになる。フォーブスはヴィースの保有資産を60億ドルと試算している。
彼は今から1年足らず前に、ニューヨーク・タイムズの紙面で、今後10年で10億ドルを環境保護に向けた取り組みに寄付すると宣言していた。「ヴィース研究所はこれまでの10年で、人々の暮らしの改善に役立ついくつもの科学的ブレークスルーを生み出してきた」とヴィースは声明で述べた。
ヴィース研究所は環境やヘルスケア分野における、イノベーションを生み出すことに注力し、2009年以来で29社のスタートアップの設立を支援した。また、累計の特許出願件数は2600件に及んでいる。
同研究所の最も大きな功績としては、2018年に製薬大手のノバルティスとライセンス契約を結んだガン治療薬や、運動制限患者のリハビリ治療に使われる外骨格スーツの「exoskeleton」などがあげられる。
スイス生まれのヴィースは1958年に交換留学生として米国に滞在した後、1963年にハーバード・ビジネス・スクールで学んだ。そして、卒業後にペンシルバニア州で医療デバイスメーカーのシンセスを設立。2012年に同社をジョンソン・エンド・ジョンソンに202億ドルで売却した。
ヴィースが1998年に立ち上げたヴィース基金は、これまで4億5000万ドルを環境保全活動に投じている。2018年にヴィースは今後、さらに10億ドルを追加で寄付し、環境保護の取り組みを加速させる意志を明確にした。
ヴィースは、フォーブスが今年3月に発表した世界で最も寄付金額が多いビリオネアランキングにも選出されていた。