ロシア軍が進める「DNA活用」、遺伝子で優れた兵士を選抜へ

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ロシア政府は優れた軍人の育成に向けて、遺伝子情報で優秀な人材を選出する「遺伝子情報パスポート」プロジェクトの立ち上げを計画中だ。ロシア科学アカデミー主任のAlexander Sergeyevが明かした。

この計画にはキーロフ軍事メディカルアカデミーも参加し、軍の医療機関での調査を実施する。Sergeyevによると「兵士の遺伝子パスポートの作成は科学アカデミーや軍事アカデミーのメンバーらが、最も期待を注ぐプロジェクトであり、軍事活動に最適な資質を備えた人材を発見可能にする」という。

ロシアのプーチン大統領は3月に、生物化学兵器による被害に備える目的で、2025年までに遺伝子情報パスポートをロシア国民全員に交付する意向を明らかにしていた。

タス通信は当時、遺伝子情報パスポートはロシア国民を安全保障上のリスクから守る目的で発行されると伝えていた。「今回の軍事プロジェクトでは、個人の生理学的指標を割り出すのみでなく、クリティカルな状況下での行動予測も盛り込む」とSergeyevはタス通信の取材に述べた。

軍の遺伝子パスポートには、兵士のストレス耐性や軍事オペレーションの実行力予測が記載される。Sergeyevは取材に対し、「遺伝子レベルで軍事活動に適した資質を見出し、その兵士がパラシュート部隊に向いているか、戦車部隊に向いているかも判別可能になる」と述べた。

Sergeyevは別の取材で「未来の戦争は知力の戦いになる。かつての戦争と比べると、意思決定の在り方が劇的に変化する」と述べている。さらに、サイバー戦争における兵士のストレスの問題に対する取り組みも進めているという。

「国家の防衛を考える上で、最も危惧するべきはテクノロジーで遅れをとることだ。科学やテクノロジー分野は急速な進化を遂げている」とSergeyevはタス通信の取材に話した。

編集=上田裕資

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