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米歌手シザ(SZA)が店内で人種差別的な扱いを受けたと明らかにしたことを受け、フランスのコングロマリット、LVHMモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・グループ傘下の化粧品専門店セフォラは6月5日、 米国内の全店舗を1時間にわたって閉鎖、多様性(ダイバーシティ)に関する研修を行った。

400以上の店舗でわずか1時間の研修を行い、それでこの問題の解決を図ろうとした同社にとっての実質的な損失は、どの程度のものになるだろうか?

セフォラは近年、歌手リアーナがプロデュースするフェンティビューティー(Fenty Beauty)や、パットマグラスラブス(Pat McGrath Labs)、フーダビューティー(Huda Beauty)といった少数派の起業家が率いるコスメブランドとの提携に力を入れてきた。また、リアーナのブランドは口紅のマーケティング・キャンペーンにシザを起用したこともある。

これらのブランドが注目を集めるようになったことが、多様性や包括性(インクルージョン)の重要性を高め、業界の変化を促してきたことを考えれば、今回の一件はなおさら大きな問題だといえる。

米カルチャー・バンクスによれば、アフリカ系米国人のヘアケア・美容関連の支出は大きく伸びている。そして、多様性の重視はセフォラの成功につながってきた。セフォラは昨年、LVMHのセレクティブ・リテーリング分野の売上高全体の28%に貢献しており、同分野の主要な成長エンジンの1つとなっている。

多様性と利益

リアーナとLVMHがフェンティ ビューティーで提携、大きな成功を収めていることから、セフォラにとっては特に、多様性と利益には密接な関連性がある。2017年に立ち上げられた同ブランドの初年度の通期の売上高は、約5億5800万ドル(約605億円)に上った。

また、およそ4550億ドル規模の化粧品市場は、“宝の山”だ。LVMHなどの企業は常に、年に3%の割合で成長する同市場でのシェアを拡大するための新たな方法を探し続けている。今回の研修が適切な効果を上げなければ、セフォラとLVMHは複数の面で、多大な損害を被ることになりかねない。

人気メイクアップ・アーティストのパット・マグラスが手掛けるブランドは、企業価値が10億ドルを超えたと伝えられているが、これはセフォラに対して不愉快な思いを抱いた顧客層が、同ブランドを支持してきたためでもある(セフォラはマグラスラブズの発売以来、54店舗で商品を取り扱っている)。

LVMHへの影響

米投資銀行パイパー・ジャフレーは先ごろ、米国の10代の若者を対象に半年に一度実施しているブランドに関する調査の結果を発表した。「化粧品はどこで買うか」という質問では、セフォラと答えた人が2番目に多かった。だが、選んだ人の割合は31%で、昨年の同時期に発表された結果での44%から低下している。

一方、消費者の購買意欲はこのところわずかに低下したものの、LVMHの株価は安定しており、過去2年間で見れば42%値上がりしている。

スターバックスも1年近く前に、多様性に関するごく短時間の研修を行った。ブルームバーグによれば、その1日の店舗閉鎖によって失われた売上高は、1670万ドルと推計される。時価総額が780億ドルを超えるスターバックスにとっては、ごくわずかな金額だ。

今回のセフォラの一件と全店舗の閉鎖は、LVMHの利益にどの程度の打撃を与えることになるだろうか。

編集=木内涼子

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