──開発にあたって、どのような点を意識したのでしょうか?
そもそもデザイナーを新卒で目指したい学生にとって就職活動自体が進めにくいと感じています。実際に今回サービスリリースをするにあたり、学生数名に対してデプスインタビューを行いました。そこで出た課題は3つでした。
・デザイナーを目指す仲間が周りにおらずどうすればいいかわからない
・新卒でデザイナーを求めている企業がわからない
・そういった企業と出会う機会がそもそもない
特に、地方在住者や総合大学にいてデザイナー採用の情報が一切入って来ない人はより強くこれらの課題を感じている傾向にありました。
しかし、これからの時代はデザイナーを目指すには美大を出ていなくてはいけない訳ではありません。もちろん美大生にも手厚いキャリア支援をしていきますが、まずはデザイナーを目指す学生を増やすために「学び」「繋がり」の機会をオンライン/オフライン双方で提供していく必要があると強く感じ、今回リリースするプラットフォーム版の機能でも特に意識しているポイントです。
優秀な学生こそ、デザイナーを目指す社会にしたい
──今後、デザイナーを志望する学生の就職活動環境はどうなっていくのが理想的だと思いますか?
デザイナーを目指す学生が増え、そういった学生とデザインの力を求めている企業が長期的に関係を築ける世界になっていくことが理想的です。
まず、学生の優秀層と聞くと、やはりコンサル・商社・銀行の総合職を目指す人が多いとイメージする人は多いのではないでしょうか。VUCAの時代になり、変化が激しい世の中では、答えがない中で課題を再定義し、正しい道を見つけ導いていくデザイナー的発想が重要になってきます。そんな優秀な学生こそ、デザイナーを目指すことが選択肢に入る社会になることが僕たちの目指す理想の社会です。
次に、日本における「デザイン」の定義が見直されることです。日本では良くも悪くも、デザイン=表層的に美しいビジュアルだけ、と捉えられがちですが、デザインの語源であるDesignaireは「デザイン=設計」という意味を持っていました。
僕たちがデザイナーと呼んでいる職種も、表現力や表現手法はもちろん、それだけでなく体験を設計し、企業のブランド・ビジョンまでもデザインしていく人を指しています。学生のうちからそういった広義のデザインに触れる社会になることが理想だと考えています。