ビジネス

2019.06.10

三菱重工が赤字のボンバルディア「CRJ」買収を急ぐ理由

三菱重工取締役会長 宮永俊一(Photo by Chesnot/Getty Images)


負債圧縮に奔走するCEO

2015年に同社のCEOに就任したAlain Bellemareは、負債圧縮のために資産売却と資金調達に奔走し、中核事業である航空機と鉄道車両の製造に集中しようとしている。

2018年には、Cシリーズを手掛ける子会社の株式の過半をエアバスに売却し、Cシリーズは「A220」に名称を変えた。エアバスは、2025年に残りの株式を買い取る権利を有している。ボンバルディアは今週、Qシリーズのターボプロップ機部門をロングビュー・キャピタルに売却することを発表した。また、先月にはA220の翼などを製造していたモロッコと北アイルランドの工場を売却することを明らかにしている。

AltaCorp Capitalのアナリスト、Christopher Murrayによると、ボンバルディアはQシリーズの売却で2億5000万ドルを手にしたという。CRJの売却でも同額程度を得ることが予想され、偶発債務を切り離すこともできるという。

6月5日にCRJ売却の報道が流れると、ボンバルディアの株価は一時8.9%上昇し、2.14カナダドルを付けた。4月末に鉄道部門の不振により2019年度の業績予想を下方修正した際、同社の株価は約20%下落した。同社は、先月行った第1四半期の業績発表で、売上高200億ドルを含む2020年の目標数値にコミットしないと発表していた。

編集=上田裕資

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