グーグルクラウドを次世代に導く「ルッカー」のテクノロジー

グーグルクラウドCEOのThomas Kurian drserg / shutterstock.com

グーグルは6月6日、ビックデータ分析企業の「ルッカー(Looker)」を26億ドル(約2820億円)で買収し、グーグルクラウドの機能を強化すると発表した。

グーグルクラウドCEOのThomas Kurianは声明で「ルッカーの機能を取り込むことで、データ活用の利便性を高められる」と述べた。

今回の買収はグーグルにとって、2014年に32億ドルを投じたNestの買収以来、最大のディールとなる。グーグルクラウドのKurianは今年初めに現在のポジションに就任しており、マイクロソフトやアマゾンからクラウド市場のシェアを奪おうとしている。

グーグルはクラウド部門の収益を開示していないが、広告以外の収益の多様化を目指す同社にとって、クラウドは非常に重要な分野だ。

ルッカーは2018年に、フォーブスが選ぶクラウド分野の主要企業ランキング「Cloud 100」で34位に入っており、ビジネスインテリジェンスソフトとして高い評価を獲得している。同社のツールは、グーグルクラウドがデータ分析機能を拡大する上で、強い味方になる。グーグルによると、2社は既に350社以上の共通の顧客を持っているという。

ビジネスインテリジェンス分野の競争は熾烈であり、同社の競合としては既に上場を果たしたTableauなどがあげられる。Tableauの株価は今回の報道を受けて、約3%下落した。また、近年上場を果たしたデータ分析企業のAlteryxやDomoの株価も約1%の下落となった。

クランチベースのデータでは、ルッカーはこれまで2億8500万ドルを調達しており、2017年にアルファベットの投資部門CapitalGの主導で8150万ドルを調達した際の評価額は8億5000万ドルとされていた。

ルッカーCEOのFrank Bienは、メディアの取材に対し「ルッカーはデータ分野のグーグルだと以前から呼ばれてきたが、今やそれが現実になった」と話した。

ルッカーのツールは複数のクラウドをまたいで利用可能であり、グーグルによる買収が完了後も、その点は変わらないことを2社は強調している。これは規制当局が大手テック企業の独禁法違反に神経を尖らせるなかで、非常に重要なポイントといえる。

編集=上田裕資

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