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2019.06.09 09:00

町工場を変えるキャディ 世界が注目する「ネクストデカコーン」へ

米DCM Venturesプリンシパル 原健一郎(左)、キャディ代表取締役 加藤勇志郎(右)

米DCM Venturesプリンシパル 原健一郎(左)、キャディ代表取締役 加藤勇志郎(右)

加藤勇志郎は2017年11月、金属加工の受発注プラットフォーム「CADDi」を運営するキャディを創業。

原価計算アルゴリズムを独自開発し、発注者がCAD図面データを入力し、品質や納期、価格などを指定すると、7秒で最適な加工会社の見積もりを出す。発注者側には、調達工数の削減、コスト削減、安定価格と安定納期を実現。加工会社にとっては、相見積もりゼロ、黒字確約、売り上げ安定化につながる。サービスの利用社数は3000社を超え、全国の提携加工会社は100社。

現在は国内約4兆円市場の板金加工品を主に取り扱うが、今後は金属や樹脂の切削加工品へと事業拡大する。

原健一郎がプリンシパルを務める米DCM Venturesは18年2月のシード期から同社に投資を実行、同年12月の総額10.2億円の超大型シリーズA期でも追加投資を行った。


:出会いは3年前、加藤さんが社会人2年目の前職時代。加藤さんは当時から製造業界で起業を考えており、壁打ち相手として相談に乗っていました。

僕らが起業家に求める素質は、(1)学習能力(2)明瞭でシンプルな思考(3)謙虚さ、オープンさ、(4)コミットメント、執念(5)周りに左右されない規律──です。

加藤さんはそれらを持ち、かつ、印象的だったのは「質問する起業家」なこと。何かを話すと「どういう意味ですか?」と聞かれる。吸収力があり、会うたびに使う言葉が変わっていく。「やると決めたら絶対にやる」という強さも併せ持つので、成長がすごい。かつ、経営陣も世界で勝負をしてきた人たちで人材が揃っています。

加藤:原さんにシード期から投資いただいた理由は、「目線が高い」から。米DCM Venturesはグローバルで、かつ、ファンド規模も大きい。小さなIPOは視野に入れず、「5年後、10年後、どのように産業を変えるのか」という話しかしていない。その最短距離について、別の視点から、例えば、リソースの制約を無視したアドバイスをもらえることは大きいです。

:極論を言うと、スタートアップは普通の企業が10年かかることを、1年、2年でやることであり、組織の機動力が重要で、長期的に見たら合理的なリスクも取る必要がある。投資家も、どんな価値を提供できればスタートアップが最短で目標を達成できるようになるかを追求しなければいけない。キャディは最初の資金調達から1年超しか経過していませんが、売り上げをはじめ、これまで見たことがないくらい成長が早い。
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文=山本智之 写真=平岩 享

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私がこの起業家に投資した理由

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