土壌中の有用バクテリアで「ストレス予防ワクチン」も可能に?

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ローリーは記者会見で、「私たち人類とともに進化してきたそれらのバクテリアは、どうやら隠し球を持っていたようだ」と述べた。「バクテリアは、免疫細胞に取り込まれると、これらの脂質を放出する。この脂質が受容体と結合して、炎症の連鎖反応を遮断する」

このことは、人類にとってどんな意味を持つのだろうか。

有益なバクテリアの力を借りる人間用のストレス・ワクチンというアイデアに研究する価値があるとすれば、今回の発見は、それを実現するうえできわめて重要だ。この脂質は、薬剤開発において焦点となる可能性がある。それにひょっとしたら、PTSDなどの、疾患を引き起こすストレス反応を予防するだけでなく、ほかのタイプの炎症反応を弱めることもできるかもしれない。

「今回の研究では、問題のバクテリアの活性物質と、宿主側の活性物質受容体を特定できたため、私たちにとっては大きな前進だ」とローリーは述べる。

ローリーはさらなる朗報を口にした。隠し球を持つ土壌中のバクテリアは、Mバッカエだけではないのだという。

「このバクテリアは、土壌中で見つかるひとつの属に含まれるひとつの種の、さらに一菌株にすぎない。土壌には、ほかにも無数の菌株が存在している」とローリーは述べる。「バクテリアの進化が人間の健康を維持するために役立つというメカニズムを解明するということに関しては、氷山の一角が見えてきたにすぎない。畏敬の念を抱かざるを得ないことだ」

現段階ではまだマウスによる研究であって、臨床研究がかならずしも間近だというわけではない。しかし、私たちは可能性にさらに近づいた。こうした研究は、わずか数年で驚異的な進歩を遂げる。次はどのような発見がなされるのかを考えると楽しみだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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