噛む努力をして喰らいつけ 食事と情報の「鵜呑み」の危険

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咀嚼の回数が少なく、食べ物を鵜呑みばかりすると、唾液が出ず消化不良を起こしますし、脳が凝り固まりストレスの原因になります。それはまるで、人の話やニュースを解釈せずにただ鵜呑みし、情報過多により消化不良を引き起こし、ストレスに悩まされているのに似ています。

「ふわふわ、とろとろ」の危険


現代の食は、介護食でなくても、噛まなくても味わうことができるもの、それでいて栄養バランスも良いものが多いのも事実です。しかし、そうした便利な食べ物が増えると、咀嚼する機会が減り、噛む力が低下します。

噛む力が低下すると、不健康にもつながりますが、時代に喰らいつくこともできなければ、食いしばり踏ん張る事もできなくなる、というのが僕の考えです。噛むという努力をせず、楽な方に楽な方に流れていく。これは食べることも人生も、同じなのではないでしょうか。



噛めなくなると生きれなくなるということは、様々な研究でもわかっていますし、長生きしてる人ほど歯の残存数が多いというのも立証されております。また、咀嚼が減り、脳への刺激が減ることで認知能力が低下することから、近年では認知症の予防においても、噛むことが注目されています。

とはいえ、僕は料理人なので、研究や科学は専門家に任せ、やはり「食卓を囲む」ことの大切さを伝えられたらと思います。何を食べるかだけでなく、どう食べるか。咀嚼し、味わい、会話をしながらゆっくり食事を楽しむ。意識することで、心も身体も変わっていくはずです。

文=松嶋啓介 写真=Getty Images

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