「時間の使い方は、愛のある投資か」エストニアから学ぶ、働き方哲学

和やかな雰囲気で始まったForbes JAPAN読者イベント

5月30日、Forbes JAPAN 6月号(4月25日発売)の特集から「エストニアから学ぶ働き方の哲学」をテーマに読者イベントを開いた。電子国家と言われるエストニアの実像に迫りつつ、新しい働き方の哲学について考えた。

本誌副編集長谷本有香とエストニアのブロックチェーンスタートアップblockhive Co-Founderの日下光が登壇し、思わぬゲスト出演もあった。エストニア投資庁、並びにエストニア政府観光局を所管するエンタープライズ・エストニアの元日本支局長である山口功作も飛び入り参加した。

今回は初めてForbes JAPANの新オフィスにて開催。事前に応募のあった30人の読者が集まり、第1部は3氏によるトークセッション、第2部は自身の働き方哲学に通ずる「問い」を考えるワークショップを行った。


日下、山口両氏ともに申し合わせたかのようにエストニアのTシャツを身に付けていることに、谷本がつっこみを入れ、イベントは和やかなムードで始まった。

「実は最初から、エストニアを特集したいと思ったわけではないんですね」

谷本はこう切り出した。Forbes JAPAN 6月号の特集について、働きやすさのヒントを探す中で、表紙とカバーストーリーに登場した「旅をするように働く」をコンセプトにした「Jobbatical」というエストニアの企業を知ったのがエストニア取材のきっかけとなったことを明かした。さらに「働き方ひいては、人生にどう向き合えば良いか」というテーマに発展したのだ。

電子国家のリアル

「エストニアってコンパクトな国なんです(人口約132万人)。だから意見が国に反映しやすい。そんな中で行政サービスの電子化を進めました」と山口が解説。「ただ便利にするために電子化した訳ではないんです。データを活用できる真のサービスとは?という議論を重ね、利用者が気づかないうちに手続きが進むようにした。おもてなしとは全く逆の考え方ですね」

日下にとって、2年前の山口との出会いがエストニアに移住するきっかけになったという。「行政システムがすべてインビジブルに(目に見えなく)なっている。1、2日ではその実像はわからず、生活の中で当たり前になっていることを知りたかった」と振り返る。

日下は、エストニア生活の中で豊かな価値観に触れることになる。「実はIT国家のイメージとは逆の森があるんですね。テック企業の人たちが、山や森で遊ぶんです。週末はブルーベリーを摘みに行ったり、島で過ごしたり。イメージと違いますよね」
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文=督あかり、写真=久世和彦

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