カレンダー機能を持つ腕時計「ブランパン」に夢中な理由|時の哲学

今回は腕時計を複数本所有しているという時計好きの元早大教授、藤井正嗣さんに話をうかがった。元々商社マンという最前線で活躍されたビジネスマンは、どのような時計を好むのだろうか?


「時計は趣味というか小学生以来の恋人です」という早稲田大学理工学術院の元教授、藤井正嗣さん。インタビューにうかがった時は教授であったが、その後定年で退任され、現在は元教授ということである。

藤井さんは商社に入社後、アメリカの食料子会社会長兼社長、本社人事国際人材開発室長などを歴任。さらにグローバルイングリッシュ・ジャパンの代表取締役社長などを経て、早稲田大学に赴任した実務派の教授である。その経験からか腕時計も実務派だった。

「私は、腕時計は曜日の機能が大事だと思っています。仕事をしている人は、週単位で動いている方が多いのではないでしょうか。だから何日の予定はって聞かれても、すぐにはわからないんですよ。曜日を一緒に言ってくれないとわからないんです」

だから腕時計も「曜日が入ってるのが好き」なのだという。日付だけのモデルも多数存在するが、それにはあまり魅力を感じないという。現在のお気に入りは、スイスのマニュファクチュールであるブランパンの「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー」だ。

「最初のブランパンは、ヴィルレのアニュアルカレンダーなんです。GMTも搭載していて、とてもいい時計です。アニュアルカレンダーでGMTなんてほとんどないんじゃないでしょうか。それですごく気に入ってたんですが、もうちょっと腕元にインパクトが欲しいと思ったんです」

ヴィルレはシンプルなドレスウォッチで、普遍的なエレガンス、アンダーステートメントが魅力のひとつでもある。だから、そう感じるのは自然なことでもある。

そんな折、藤井さんが知ったのが“フィフティ ファゾムス”の存在だった。

「当初はブランパンがダイバーズを作るのか、と驚いたのですが、調べると歴史があるんですね。それにブランパンのダイバーズは丈夫だという話も聞きました。ならばヴィルレの機能をダイバーズに入れたのがいいと購入したのが“バチスカーフ コンプリートカレンダー”だったのです」

いまや「カレンダー機能を持った時計では、ブランパンが世界で一番いいと思います」というほど、ブランパンに惚れ込んでいる藤井さんは、昨年、スイスのジュウ渓谷ル・ブラッシュにある工房へと足を運んでもいる。

最後に、今後欲しい時計は? と聞くと、「アニュアルカレンダーにGMTがついたフィフティ ファゾムス バチスカーフ」と即答。いつか誕生したならば、藤井さんの「最高の腕時計」となるに違いない。


実用的なカレンダーが並ぶこのモデルにおいて、唯一情緒的なのが月の周期(29.5日)を表現するムーンフェイズ機構。潮の干満や日本独自の四季の移り変わりを察知するには月齢による周期は重要。これも実用的である。


ダイヤル外周に日付表示、12時位置に曜日と月を並列に表示するカレンダー。バランスがよく、見やすいのも大きな特長である。


BLANCPAIN Fifty Fathoms Bathyscaphe Complete Calendar

フィフティ ファゾムスの誕生は1953年。フランス軍の特殊潜水部隊のために製作された初のモダンダイバーズウォッチだった。ファゾムとは英国の水深測定単位で、1ファゾム=約1.8288m。50ファゾムスは91mとなる。そして56年には、日常使いに適し、アワーマーカーに数字を使用しない“バチスカーフ”モデルが登場。今回のモデルは、日付、曜日、月という機構に加え、ムーンフェイズを搭載するという、実用に則した機能を有す。

ムーブメント:キャリバー6654.P 自動巻き
パワーリザーブ:72時間
ケース素材:ステンレススティール
ケース径:43mm
価格:1450000円
問い合わせ:ブランパン ブティック銀座 03-6254-7233


藤井正嗣◎早稲田大学理工学術院・元教授。大手総合商社アメリカ食料子会社会長兼社長、人事部国際人材開発室長などを経て、現在はグローバルマネジメント・コミュニケーション等の人材育成企画や、社会人向けプログラム講師など多岐にわたり活躍。

edit by Tsuzumi Aoyama

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