グッチは先ごろ、イタリア・フィレンツェにコールセンターを開設。2020年までに、その他5カ所にも設置する予定だ。世界中の顧客はいつでもどこにいても、グッチの最も優れたショップアシスタントから専門知識を得ることができる。
一方、シャネルは、ニューヨークのソーホーにビューティ専門のショールーム「アトリエ ボーテ シャネル」を新設。テクノロジーを取り入れることで、店内での顧客体験をより豊かなものにする新たな方法を生み出した。シャネルがこの店舗から学ぶことは今後、ブティックで提供する顧客体験にも生かされていくだろう。
両ブランドはこうしたサービスを通じて、実店舗の価値をさらに高めようとしている。
実店舗での体験は不可欠
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)とイタリアの高級ブランドが加入する業界団体アルタガンマが共同で行った調査では、消費者が依然、実店舗での体験を求めていることが示された。「全ての年齢層にとって、実店舗は重要なものだ」という。
調査によると、世界中のどこでも、特定のカテゴリーの高級品に年間平均4万4000ドル(約475万円)を支出する消費者層は、モノブランド・ショップ(単一ブランドの商品を取り扱う実店舗)で買い物をしたいと考えている。
これらの消費者の約3分の1(30%)が、高級品を購入した直近の場所はモノブランド・ショップだと回答した。次いで多かったのは、オンライン(21%)、高級百貨店(19%)での購入だった。
この調査では、販売員から受ける個人的なサービスの重要性が高まっていることも明らかになった。BCGの担当者は、モノブランド・ショップにとっての課題は、オンラインで買い物をする人がますます増える環境の中で、消費者とのつながりを維持することだと指摘している。
そのための方法の例として挙げられるのが、グッチとシャネルの新たな取り組みだ。