米国の「月への帰還」担う宇宙企業3社、来年9月初打ち上げ

Space shuttle landing, NASA

2024年までに月に人間を送り込む計画を進めているNASAが、機器や実験装置を月面に輸送する3社を発表した。
 
これらの企業は無人着陸機の開発と輸送を行う。2020年9月に最初のミッションが予定され、2021年半ばにはさらに2つのミッションが計画されている。
 
「月や太陽系、そしてその先にある多くの科学的な謎を解き明かすため、今後も民間と提携していく」と、NASAの科学ミッション部門のThomas Zurbuchenは声明で述べた。
 
3社のうち最初に打ち上げを行うのはニュージャージー州エジソンに拠点を置くOrbit Beyondだ。9700万ドル(約105億円)の予算を支給された同社は、2020年9月に「雨の海」と呼ばれる溶岩平野のクレーターに4つのペイロードを輸送することを目指す。
 
テキサス州ヒューストンのIntuitive Machinesには7700万ドルの予算が割り当てられ、2021年7月に月の表側の西部に位置する「嵐の大洋」と呼ばれる場所へ4つのペイロードを輸送しようとしている。
 
そしてピッツバーグ本拠のAstroboticも、同じく2021年7月に「死の湖」と呼ばれるクレーターに最大14つのペイロードを輸送することを提案しており、7950万ドルの予算を獲得している。同社は以前、月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに参加していた。
 
アメリカ製の機材が月に着陸したのは、1972年のアポロ17号が最後となっている。NASAは今回の「CLPS(商業月輸送サービス)」と呼ばれるプログラムを、米国の月への帰還の第一歩にしようとしている。
 
NASAは最近発表した「アルテミス(Artemis)」計画で、2024年までに月に人類を送り込むことを発表した。
 
今回の3社の月面着陸機は有人ではないが、今後の有人ミッションに向けた大きな前進を担うことになる。着陸候補地の選定や、人間が使う機材を月面でテストすることもできるだろう。
 
NASAがCLPSを最初に発表したのは2018年11月で、月への貨物輸送を担う企業には最大26億ドル(約2800億円)を支給するとしていた。候補として選ばれていた他の6社にも今後のミッションを任せる可能性がある。
 
今回のミッションの予算は控えめではあるが、近い将来に少なくとも1社がミッションを成功させるはずだ。有人であれ無人であれ、アメリカによる月面着陸が1回でも成功すればNASAにとっては大きな成果となる。

編集=上田裕資

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