女性だけで女性を撮影したら…世界最大級のデジタルコンテンツ会社と起こす静かな革命


背景にあるのは、ボディポジティブムーブメント


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この企画をあと押ししたのは、ダヴの調査結果だけではない。世界中で巻き起こるボディポジティブムーブメントがあらゆる企業に多様な美を提示する責任を問うている。
ありのままの体型をポジティブに捉えようと発信するこのムーブメントは、痩せすぎのモデルを使わないなどファッション業界から始まり、1国の法律を変えるまで広がっている。

実際に島本は2017年10月にフランスの法律が変わったことで企業としての責任を感じたという。フランスでは商業写真に加工をした場合、「レタッチトフォト(加工写真)」と明記するように義務付ける法律が施行された。これに違反すれば、約4万4000ドル、または広告費の30%程度の罰金が科される。

ゲッティイメージズは、その法律が決まった後に新しく登録する写真に関しては体型をレタッチした写真を受け付けないと方針を転換した。

「広告やメディアで使われている写真はゲッティイメージズのものが多いので、そのビジュアルが価値観やバイアスの形成に影響を与えているということを私たちは自覚しています。その影響を考えると、(レタッチ写真を受け付けない)判断はチョイスではなく、マストな決断でした」。

「もちろん、その影響に気が付いていない人もいっぱいいると思います。しかし、それを提供する側としては影響を与えている自覚は必要じゃないかなと思います」。島本は強い口調で語った。

消費者は、少しずつ企業が与える影響に気付き始めている。つまり、多様なあり方を許容してほしいという消費者のニーズに応えられるかどうかは企業の死活問題になってきているのだ。

美しさの再定義


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多様な美しさをうつしだすプロジェクトは、「美」の定義も変えていると言っても過言ではないだろう。今まで、体が細い、目がはっきりしている、胸が大きい、など外見で定義されやすかった。しかし、 #ShowUs プロジェクトに出てくるモデルの魅力は、外見だけではない。

島本に彼女たちの共通点を聞いてみた。「彼女たちには、話しかけたくなるような魅力がありますね。彼女たちのほとんどが何かに取り組んでいる様子を撮影されています。人生を一生懸命生きているからこそ、何をしているのか聞きたくなる。外見だけの魅力ではなくて、その人のストーリーや人生を知りたくなります」

しかし、内面の美しさや人生経験も滲み出るようなモデルを見つけること自体がカメラマンにとっては一苦労だ。カメラマンがモデルをどうやって見つけて、コミュニケーションを通じて魅力を引き出し、一枚の写真に仕上げているか。そのプロセスを想像することもこのプロジェクトの楽しさだろう。
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写真=柴崎まどか

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