女性だけで女性を撮影したら…世界最大級のデジタルコンテンツ会社と起こす静かな革命

ゲッティイメージズ ジャパン社長の島本久美子

私たちは、普段目にする画像がどんな人によって撮影されたのか意識することはあるだろうか。

日々何千という写真を見ていても、それを撮影したカメラマンの姿はなかなか目にすることはない。しかし、作品はカメラマンの姿を投影する。黒子でも大切な存在だ。

世界最大級のデジタルコンテンツ企業ゲッティイメージズ、日用品メーカーのダヴ、そしてノンバイナリー(男女に分類されない性別認識)で構成されるクリエイティブ・コミュニティーのガールゲイズは、カメラマンを女性とノンバイナリーに限定した写真を集めるプロジェクトを始めた。その名も「#ShowUs」。撮影されるモデルも女性かノンバイナリーだ。すでに世界39カ国から5000点を超える作品が集まっている。

そこには「多様」をテーマとした美の再定義が行われていた。なぜカメラマンやモデルを女性やノンバイナリーに限定したのか。ゲッティイメージズ ジャパン社長の島本久美子に詳しく話を聞いた。



#ShowUs プロジェクトとは?

このプロジェクトが始まったきっかけは、ダヴが一般女性向けに行なった2019年のある調査だった。「70%の女性がメディアや広告で自分のことが描かれていないと感じている」。世界にはいろんな女性がいるにも関わらず、普段目にする画像の女性は偏っているのではないか、現実と同じようにより多様な女性のあり方を示そうと3者が立ち上がった。

このプロジェクトでは、なるべくありのままの姿を捉えるために、撮影された画像はデジタル処理による加工・編集を一切おこなっていない。自分たちの視点でリアルな姿を表現するように、カメラマンは女性かノンバイナリーに限定している。そして、画像を検索するキーワードをカメラマンとモデル自らがつける初めての試みに挑戦した。


Getty Images

通常検索しやすいように、「女性」、「山」、「朝」など写真に写る事実をキーワードとしてつけているが、今回のプロジェクトでは「INSPIRATION(インスピレーション)」、「CONFIDENCE(自信)」、「PASSION(情熱)」、「BODY POSITIVE(ありのままの体型にポジティブであること)」など概念的な言葉も加わった。それは被写体の撮影時の心情を強く押し出しているからだろう。

これらの5000点を超える作品はゲッティイメージズから企業も個人もダウンロードができる(有料)。このプロジェクトの写真を使用することで、世界にはもっと多様な女性の姿がある、という事実が広がることになるのだ。
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写真=柴崎まどか

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