Forbes JAPAN Web編集部

熊川哲也(撮影=小田駿一)

バレエダンサーとして世界を舞台に活躍し続けてきた熊川哲也。英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルを経て、1999年に自らのバレエ団「Kバレエ カンパニー」を旗揚げしてから20年。芸術監督として完全オリジナルの作品を創造し、大手企業を渡りあって興行を成立させ、さらにスクールやオーケストラを運営しながら、次世代スターとバレエカルチャーそのものを育成する──。

国営バレエ団がアーティストをサポートする仕組みが確立したヨーロッパ諸国とは違い、バレエ芸術を支えるシステムそのものが存在しなかった日本で、アートとしてのバレエだけではなく、ビジネスとしてのバレエを成功に導くべく、事業家として取り組みを続けてきたのが彼だ。5月29日には、その半生を象徴する『完璧という領域』と題した書籍も発売された。

文字通り「完璧という領域」を目指すアーティストとして、また、バレエを文化として日本に根付かせるための仕掛けをつくり出す事業家として走り続ける、熊川の思考を覗く。

完璧という領域を「目指す者」と「そうでない者」の間に横たわる差は歴然

僕はずっと「完璧という領域」を目指して踊り、バレエという芸術と向き合ってきました。そして実際に、何度も完璧だと思えるパフォーマンスを経験しています。「完璧など存在しない」という人もいるけれど、僕に言わせれば、それは上手くいかないことに甘えたり、夢をあきらめたりするための言い訳に過ぎない。奇跡のような確率であったとしても、確かに完璧という領域は存在し、到達できるはずのものなのだから。芸術監督になったいまでももちろん、自分が創り出すバレエの世界と作品は、常に完璧を目指しています。

ビジネスの場面でも、完璧という領域を知っているかどうかは別にして、「目指す者」と「目指さない者」の違いはとても大きいと感じます。その意識の持ちようが、売り上げや動員数といった数字に顕著に現れるし、次への活力にも繋がるから。

そして、人間は一度妥協を覚えてしまうと、その途端、ズルズルと妥協だらけの人生に転落してしまうもの。特に、ダンサーや芸術監督として結果を出してきた自分のような人間は、ある段階から、周りが誰も意見してくれなくなるんです。そんな環境で、自分が自分に甘えてしまったらもう終わり。成長も成功もそこまで。だからこそ、常に完璧を志向する姿勢が染み付いたのかもしれません。

文・構成=松崎美和子 写真=小田駿一

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