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2019.06.06

医師から「アプリを処方される」時代が来る? ニコチン依存症治療用アプリ開発の裏側

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ただし、ニコチン依存症治療用アプリは、誰もが気軽にダウンロードし使えるわけではない。まだ薬事承認されていないため現在使用はできない上、薬事承認・保険適用をされた後も、病院で医師の診断を受け、アプリを使用した治療が適切と判断した場合のみ、医師が薬を処方するようにアプリを処方する。

医療のあるべき姿へ向けて


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同社は、他にも東京大学医学部附属病院と共同開発する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療用アプリ、自治医科大学内科学講座循環器内科学部門と共同開発した高血圧治療用アプリを始めさまざまなアプリを開発している。

「今後は、その他の生活習慣病やメンタルヘルスをはじめとするさまざまな疾患に対する治療用アプリを開発していきたい」と意気込む。また、直近5年の目標と掲げるのが海外進出だ。「会社の立ち上げがたまたま日本であっただけで、設立当初からグローバルなマーケットを見据えています。事業ドメインで言えば、日本のほか、中国と米国で、米国では子会社を設立しFDAの承認申請プロセスを進めている最中です」とグローバルな展開にも積極的だ。

「弊社は“アプリで治療する未来を創造する”ことをビジョンに掲げています。高齢化社会を迎えた日本では高騰する医療費が課題になっています。禁煙をした人の医療費は、10年で35%抑制され、医療費の適正化に非常に効果的です。また日本でも一部の地域で顕在化していますが、海外では地域による医療格差が大きな社会問題となっています。特に高度な医療に関してはその傾向が強い。弊社の技術力で、これらの問題を解決し、医療の本来あるべき姿であるすべての人が経済的にも安心し、いつでもどこでも良質な医療を受けられる世界を創っていきたい」と将来を見据える。

薬事承認されるのか。そして日本の医療に新しい風を起こすのか。キュア・アップの今後の動向に注目が集まる。

文=本多カツヒロ

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