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中国政府は6月4日、米国に向かう旅行者らに犯罪被害に遭うリスクなどを警告した。サンディエゴ州立大学で国際ビジネスを研究する教授は、この動きの背後には貿易交渉を有利に運びたい中国政府の思惑があると指摘する。

政府系メディアの中国新聞の記事によると、中国政府は米国に向かう旅行者に、「米国では銃撃や強盗、窃盗に遭うリスクが高い」と注意を促している。これとは別に中国外務省は、米国の税関で中国人が尋問などの嫌がらせを受けていると指摘した。

サンディエゴ州立大学のDwarka Chakravarty教授は、中国政府が観光客数の引き下げを行えば、貿易交渉における中国の交渉力は高まると指摘する。2016年に米国を訪れた中国人観光客は260億ドルを支出しており、米国のラグジュアリー市場を牽引しいてる。

中国政府が今回の声明を出した数日前には、バージニア州で12人が死亡する銃乱射事件が発生していたが、「中国人を標的とする犯罪や嫌がらせが増加しいてるとの証拠は存在しない」とChakravarty教授は話す。

また、今回の声明は米中の貿易交渉をめぐる緊張がヒートアップする中で出されたものであり、そのタイミングは決して偶然ではないだろう。

「これが中国の報復措置であることは明らかだ。米国の犯罪発生件数がさほど変化したとは思えない。中国政府は米国でビジネスを行う中国企業に対しても、やめておけというメッセージを密かに発している」とChakravartyは述べた。

しかし、中国政府の呼びかけは実際に影響を及ぼすことになるのか。米国に向かう中国人観光客数は、ドル高の影響で昨年から既に減少が始まっていた。

だが、中国人観光客の売上を失った米国のラグジュアリー市場が苦しい状況にあるのは確かで、企業は今後のさらなる減収を懸念しているとCBSは報じた。米国経済全体に占める中国人観光客の支出はわずかではあるが、「決して無視できるボリュームではない」とChakravartyは指摘した。

一方で、今回の中国政府の対応が、トランプ大統領の中国への関税の見直しにつながるかどうかも現状では不明だ。

編集=上田裕資

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