デトロイトの大学で始動の「モビリティ人材」育成プログラム

(Wayne State University, Midtown, Detroit, Michigan, USA/shutter)

ここ数か月でGMやフォードなどの大手自動車メーカーは、高いスキルを持つエンジニアリング関連のスタッフら数千人をリストラしている。背景には売上の減少やコスト削減の取り組みがあるが、それ以外にも別のスキルを持つ従業員が必要になったことがあげられる。
 
デトロイトのウェイン州立大学はこれまで自動車産業に従事する数多くのエンジニアを輩出してきたが、同大学は今後「ミシガン・モビリティ・インスティテュート(Michigan Mobility Institute、MMI)」の協力を得てモビリティ関連のエンジニアを養成する方針だ。
 
MMIは、クリス・トーマス(Chris Thomas)とジェシカ・ロビンソン(Jessica Robinson)が創設したデトロイト・モビリティ・ラボ(Detroit Mobility Lab)の教育機関だ。トーマスはモビリティ関連のスタートアップを支援するベンチャーキャピタルFontinalis Partnersの創業者でもある。
 
Fontinalis PartnersはリフトやnuTonomy、Turo、Postmatesなどに出資している。フォードのモビリティ部門「フォード・スマート・モビリティ」でディレクターを務めていたロビンソンは2019年1月、MMIのエグゼクティブ・ディレクターに任命された。
 
自動車業界がコネクテッドカーや自動運転などの新時代に移行するなかで、MMIは新時代に必要なスキルを備えたエンジニアの養成を行うため、ウェイン州立大学と協力しモビリティの修士課程のカリキュラムを設立する。
 
モビリティ業界で活躍するエンジニアらは電子工学やソフトウェア開発、ロジスティクス、データサイエンスなどの知識を身につける必要がある。
 
ウェイン州立大学はこれらの分野の学士課程の履修コースを既に提供中だ。今後はMMIとの連携で、モビリティ業界が必要とするエンジニアを育成するためのカリキュラムを充実させていく。
 
MMIは今後、さらに他の教育機関と協力し別の地域でもカリキュラムを提供する方針だ。今後10年でEVや自動運転、コネクテッドカーの分野が10万人の雇用を生むとされている。デトロイトの教育機関は、新たな雇用に対応できる人材の育成を目指している。

編集=上田裕資

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