女性ビリオネア数は昨年24人だったが、今年はその記録が更新され、本ランキングの開始以来最多となった。
トップには建築資材卸売り企業「ABCサプライ」会長のダイアン・ヘンドリックスが2年連続で立ち、資産額は昨年の21億ドルから70億ドルに伸びた。背景にはABCサプライの好調な売上がある。
ウィスコンシン州生まれのヘンドリックスは酪農を営む農家の9人姉妹の1人として育ち、17歳で妊娠した。その後、夫のケン・ヘンドリックスに出会ったが、彼も高校を出ていなかった。2人は最初のABCサプライの店舗を1982年に開設し、事業は順調に伸びた。
2007年に夫のケンが死去して以降、ヘンドリックスは同社の経営を率い、現在は米国内に780の店舗を持つまでに拡大。売上も約10年間で4倍増の105億ドルまで伸びている。
25人の女性ビリオネアのうち7人はテック業界で財を成した人物だ。イーベイとヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)でCEOを務めたメグ・ホイットマンは、ハーバードビジネススクール出身だ。
2018年にHPEを退任したホイットマンは現在、2020年にローンチ予定の動画ストリーミングサイトQuibiのCEOを務めている。
8人の女性ビリオネアたちは、米国外で生まれた人々だ。韓国生まれのタイ・リー(Thai Lee)は資産30億ドルで、今回初めて上位5位圏内に入った。リーは1989年に元夫とソフトウェア企業を100万ドル以下の金額で買収し、年間100億ドルの売上を生むITプロバイダーの「SHI」に育てた。
ファストファッションの「フォーエバー21」や、コスメ用品の「アナスタシアビバリーヒルズ」、ファストフード店の「パンダエクスプレス」を成功させたのも、移民として米国に渡ってきた女性たちだ。
パンダエクスプレス共同創業者のペギー・チェンは、ミャンマーに生まれ香港で育った。その後、米国で電子工学を学んだチェンはアメリカ海軍でエンジニアとして勤務した後、1983年に夫のアンドリューと共にロサンゼルスで、最初のパンダエクスプレスの店舗を開いた。
パンダエクスプレスの発展の背景には、チェンがエンジニアとしての知識を活かし、バックエンドのオペレーションを効率化させたことがあげられる。