──来て欲しい、面白いと思うのはどのような未来ですか。
年齢に関係なく、誰もが新しいことにチャレンジできて、他人の成功を喜べる社会が来たらいいなと思います。他人の成功を妬んだり、足を引っ張ったりするのではなく、あの人すごいよね、会いたいな、と素直に言い合いたい。
いまはリスクを取って失敗すると「やっぱり」と言われる。リスクを取って成功すると、妬まれる。リスクを取ったのに、どちらに転んでもいいことがない状態です。自己満足するしかない。失敗のリスクを取ることはいいことだ、と言えるもっとおおらかな社会がいいと思います。
──女性のビジネスリーダーを育てるために何が必要でしょうか。
女性や男性に関係なく、一人ひとりの強みが何かをきちんと見て、活用できる組織や環境が必要だと思います。いま問題なのは「女性だからここまでしかできないだろう」というバイアスがあることです。それを取り払うのに、女性だけにフォーカスする必要はありません。男性も組織文化のせいで能力が生かせない人がいます。
女性も男性も、人物本位で能力のある人が上に上がるようにする。そういう組織に変わっていくことが、結果的に女性も生かすことになると思います。
──いまの20-30代に必要なことは何でしょうか。
リスクを取って、次のステップに踏み込むことです。自分の能力や将来の可能性がまだ見えないなら、次のことにトライするしかない。失敗したらどうしよう、ではなくて、まずドアを開けて入っていく。入ったら、ベストを尽くす。それでうまく行かなければ、うまく行かない理由があるはずなので、客観的に考えて、やり直す。
私はこうなりたいからとか、この能力しかないからではなくて、とにかく面白いと思ったら踏み込むと、新しい道が開けるものです。そこにつきますよね。
小林いずみ(こばやし・いずみ)◎東京都出身。成蹊大学文学部卒業。三菱化成工業(現:三菱ケミカル)を経て、メリルリンチ・フューチャーズ・ジャパンに入社。メリルリンチ日本証券法人顧客グループ業務統括本部長を経て、2001年に同社社長に就任。08年から13年まで多数国間投資機関(MIGA)長官に就任。大阪証券取引所社など多くの企業で社外取締役を務める。経済同友会副代表幹事としても活躍。