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本田圭佑の人生すべてで貫かれる矜持「普通って何や」

本田圭佑 Mike Hewitt - FIFA/Getty Images

南アフリカ、ブラジル、そして昨夏のロシアと3大会連続でワールドカップの舞台に立ち、すべての地でゴールとアシストをマーク。日本代表の歴史に自らの名前をはっきりと刻み込んだ本田圭佑が、最も忌み嫌う言葉がある。

会話のなかで「普通は──」と切り出されたときに、無意識のうちに拒絶反応を示すという。

「普通は、と言われると『普通って何や』と、それこそ一日中考えてしまうんですよ。その意味で、僕は常識というものが大嫌いなんですよね」

サッカーに限らず、ピッチを離れた人生のすべてで貫き通し、これからも大切にしていく矜恃のような持論を展開したのは2017年6月。表情に浮かんでいた不敵な笑みを、いまでも鮮明に覚えている。

当時は2014年1月から3年半にわたって所属し、小学生のときから夢見てきた「10番」を託されてきたセリエAの名門、ACミランを契約満了で退団することが決まっていた時期。まもなく無所属となるというのに、焦燥感の類は微塵にも伝わってこなかった。

むしろ、自身の新天地がどこになるのかを、楽しんでいる節もある。ミランにおける最後のシーズンは、実質的な戦力外を味わわされた。ピッチに立つ時間が減少すれば、必然的にゲーム体力とゲーム勘も削がれていく。31歳になる直前の当時の本田は、年齢的な衰えも感じていたはずだ。

やり取りを展開していたメディアから、新天地に関して核心を突く質問が飛んだ。出場機会を優先するのか、と。待っていましたとばかりに、本田は再び持論を展開し始めた。

「試合に出ることを優先して移籍した、ということが過去にないので。自分が成長できる、あるいは自分が面白いと思えるような刺激的なところへ、常に挑戦心をもっていっているので。次も出場機会がトッププライオリティーになるわけではないんですね。面白いから行きたい、と思えるクラブがあるかどうかがものすごく重要で、もちろんその次に試合に出られるかどうか、とは考えるんでしょうけど」

本田の言葉はウィットに富んでいる。ゆえにお互いに交わす言葉の中身も、どんどん深みを増してくる。メディアからはこんな質問がかぶされた。刺激とは何ですか、と。

「同じルーティーンがあまり好きじゃないので。環境もそうですけど、常に未開の地みたいなところがすごく好きですし、自分の知らないエリアに行くことも好きですし、自分の考え方から来るありとあらゆる好奇心が、ひと言でいえば僕にとって刺激に近いですかね」
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文=藤江直人

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