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(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

「関税マン」がまた新たな攻撃を仕掛けた。ドナルド・トランプ米大統領はツイッターへの投稿で5月30日、「メキシコからの輸入品全てに6月10日以降、5%の関税を課す」と表明。「メキシコを通過してくる不法移民の米国への流入が“止まる”まで」段階的に関税率を引き上げる計画を明らかにした。

メキシコ製品への関税率は、10月には25%となる可能性がある。だが、関税は基本的に、米国に拠点を置き、商品を輸入する企業が支払う税金だ。追加費用は最終的に、消費者に転嫁される。

関税が引き上げられれば、それは米国人にとって実質的に、過去30年近くで最大の増税となるだろう。関税はインフレの要因となるからだ。

中流層に大打撃

米国のメキシコからの輸入総額は昨年、約3460億ドル(約37兆3400億円)に上った。この輸入額に5%の関税がかけられれば、米国が負担することになる金額は、およそ170億ドル。25%に引き上げられれば、870億ドル近くにもなる。米経済はそれだけの打撃を受けることになる。

これまでに中国製品への関税の引き上げがもたらしたより、はるかに直接的な物価上昇の影響が、米国の中流層に及ぶことになる。それは、メキシコが米国にとって自動車と自動車部品の最大の輸入先であるだけでなく、農産物の最大の輸入先でもあるからだ。昨年の同国からの食糧輸入額は、およそ260億ドルとなっている。

トランプの計画どおり5%の関税がかけられれば、米国内のあらゆる地域で販売される生鮮食品(輸入額は約117億ドル)、ビールとワイン(同36億ドル)、スナック食品(同22億ドル)、さらにその他の食品が全て値上がりすることになる。

自動車価格も上昇するだろう。全米自動車政策評議会(AAPC)のマット・ブラント会長は、メキシコ製品に関税を課すことは、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA、批准に向けた手続きを開始したばかり)」を台無しにするとの見解を表明。「米自動車業界に多大なコストを負担させることになる」と述べた。

米金融大手シティのアナリストは自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)について、関税率が5%になれば、同社の年間利益には「数百万ドル」相当の影響が及ぶことになるとの見方を示している。GMとフォード、フィアット・クライスラーの株価は31日、いずれも大幅に下落した。

編集=木内涼子

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