ビジネス

2019.06.07

「発酵食」で注目を集める若手実力派シェフがプライベートで通う店 #UNDER30STYLE

kabi 安田翔平


僕のレストランとの付き合い方は、Kabiに来てくれるお客さんたちと近い気がします。長い時間を過ごして、そこから得た知識やインスピレーションを自分のものにしていくんです。

お店から歩いて10分ほどの場所にある「スイッチ・コーヒー」にはワインもあるから、kabiのソムリエ江本賢太郎と妻と一緒に、長い時で1日5時間くらいここで過ごすこともあります。コーヒーを2杯飲んで、ワインを1杯飲んで、最後にコーヒーで締める。Kabiのコーヒーはもちろん、ここのものです。


取材当日も、すでに「スイッチ・コーヒー」に集まっていた3人。

「スイッチ・コーヒー」はもともと妻が常連だったんです。妻は「ティルプス」で一緒に働いていていた時の仲間で、2年前に僕たちは交際期間0日で結婚しました。それぞれヨーロッパ旅行をしていて、パリの有名な日本人シェフの店で友人を交えて会うことになったのですが、直前に準備をしたエルメスの指輪を渡してプロポーズしました。

恋人関係になったことはなかったけれど、彼女と一緒にいると居心地がいいことはわかっていましたから。結婚するなら彼女しかいないと思っていましたが、今思うと随分身勝手ですね(笑)。

普段は贅沢もしないし、当時は今よりもお金がなかったけど、同じ価値観を持つ者同士でスペインで100万円分の食べ歩きをしたのは楽しかったですね。今、妻はkabiでパティシエをやってくれています。

気の合う人といると、自分がいるべき場所とすべきことに辿りつくんだと思います。こんなに仲のいいレストランは、日本では珍しいと思います。お店というより、自分たちの居心地のいい場所をつくっている感覚ですね。

ほぼ24時間一緒に仕事も遊びもしているから、最終的には泊まれるような空間にしたい。いつかは自分で旅館もやってみたいとも思っています。


今後3年で成し遂げたいことは?



KabiのスタッフたちとNY、ストックホルムのクラブで見た紫色の光を思い出しながら安田が語ってくれたのが「シェフが運営するクラブ」を作るという目標。そこにはナチュラルワインやメキシコの蒸留酒メスカルなど、普通のクラブにはないお酒を置く予定だという。

安田翔平◎1991年生まれ。大阪の料理学校を卒業後フランスへ。帰国後、大阪の二つ星レストラン「ラ・シーム」で働く。その後、世界最速で一つ星を獲得した東京・白金台のフレンチレストラン「Tirpse(ティルプス)」でスーシェフを務める。2015年12月から約1年間デンマークへ渡り、一つ星レストラン「Kadeau(カドー)」でシェフに。17年11月、目黒に「Restaurant Kabi」をオープン。


Forbes JAPANは今年も、アート、ビジネス、スポーツなど各分野の次世代を担う30歳未満の30人を表彰する「30 UNDER 30 JAPAN」を開催。

彼ら、彼女たちが歩んできた過去、現在、そして目指している未来とは。受賞者のインタビューは、8月23日から順次特設サイトにて公開する。

構成=長嶋太陽 写真=藤井さおり

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