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kabi 安田翔平

各ジャンルで優れた才能をもつ「30歳未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN」。

彼らのライフスタイルに迫る連載企画「UNDER 30 STYLE」では、受賞者たちのOFFの過ごし方が、どう彼らの仕事に影響を与えているのかを探る。今回話を聞いたのは2018年のArt部門受賞者、「Kabi」シェフの安田翔平。

世界最速で一つ星を獲得した東京・白金台のフレンチレストラン「ティルプス」、デンマークの一つ星レストラン「カドー」を経て、17年目黒にKabiをオープンさせた。発酵を巧みに用いた調理法で、美食の街・東京でも際立った存在感を示す安田は、どのようにして新しい味を生み出し続けているのか。

彼の周囲の人との付き合い方と、好んで通うレストランからインスピレーションの源を探る。


──昨年のインタビューで「スタッフと360日一緒にいる 」とおっしゃっていましたが、嫌になることはないですか?

お店の「スタッフ」というより、友人や家族に近い「ツレ」のような存在なので一緒にいるのが自然なんです。2017年にKabiをオープンさせてからずっと、仕込みから閉店までの時間を一緒に過ごしています。

閉店後はほぼ毎日、kabiに来てくれた友人も一緒になって、毎日4時くらいまで2階のバーで飲んでいます。そこにいるのは、DJ、音楽やファッション業界で働いている友人、デザイナーやフォトグラファーが中心。

クリエイティブな仕事をしている彼らから、「翔平の料理からインスパイアを受けた」なんて言われるとすごく嬉しい。僕も彼らといることで、作る料理に幅ができることを実感しています。

例えば、僕にとってDJは職業的にすごく近い存在なんです。彼らは楽曲をつないで流れをつくる。僕は13品でコースの流れを作っています。クラブで出会った低音と高音の重なりを、味覚でも再現しています。

「旨味をベース音として、酸味を高音のアクセントとして構成するとどんなコースになるだろう」と考えながら料理をするのは楽しいですよ。

一緒に働く仲間も、友人みたいなお客さんも、僕がいつも一緒にいるのは自分の物差しで物事を判断できる人。彼らとならどれだけ長い時間を過ごしても飽きないですね。東京には多いミーハーな人って話が合わないし、ダサい人とは一緒にいたくないんです(笑)。

同じような考えを持つ人だけで固まっていても新しい発見はないという考えもあるけど、僕は逆。自分が信じている感覚を持った人との繋がりを深掘りしていくことが、自分にしかない新しさを発見することに繋がると思います。

──「今もっとも注目を集めるシェフ」と言われる安田さんが、そんな「ツレ」の方たちとどんなお店に行くのか気になります。

調理法や、魚の仕入れの話は昔から興味がなくて、料理人の友人が全然いないんです。だから「新しいお店ができた」とか「有名レストラン出身のシェフがお店を出した」という情報は僕の耳には届いて来ません。

お店のスタッフ、友人と頻繁に行くのは恵比寿の「ワインスタンド・ワルツ」、渋谷の「アヒルストア」、kabiからも徒歩圏内の「スイッチ・コーヒー」です。

通っているうちにお店のソムリエやスタッフが教えてくれるから、自然とワインに詳しくなりました。専門的なことを学校で勉強したことはありませんが、どういう風にどんなタイミングでサーブするかということは、好きで通っているお店から学びました。

構成=長嶋太陽 写真=藤井さおり

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