CASE 8 ROYAL COLLEGE OF ART
自らが「新しい知」を生み出す
イギリス・ロンドンを拠点にした、世界で唯一、修士号と博士号を授与する美術大学大学院ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)。2017年にジョナサン・アイブが学長に就任し、しばしば世界最高の美術大学と称されている。これまでダイソン創業者のジェームズ・ダイソン、デザイナーのトーマス・ヘザウィック、映画監督のリドリー・スコットなど、数々のイノベーターを輩出してきた。
同校は、建築からモビリティ、ジュエリー、ファッションといった28の異なるプログラムを専攻する学生たちが領域を超えて学び合い、協働できる環境が特徴だ。RCAのミッションは「知識を社会に応用すること=Knowledge exchange」。政府や企業や他大学とも連携し、数々のプロジェクトを行う。世界中から約2100人の学生が学び、交流する「知のインキュベーション」施設。RCAをRCAたらしめているものは、「自らが新しい知を生み出していく」ことだ。
CASE 9 INTERNATIONAL PEOPLE’S COLLEGE
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リスペクト&オープンネス
デンマークには、入学試験や成績表、卒業証書のないフォルケホイスコーレと呼ばれる成人教育機関がある。18歳以上が入学資格で、同国の10%の人々が通っていると言われている。デンマーク唯一の国際フォルケホイスコーレが「InternationalPeople’s College」。欧州アジア、中東、アフリカ、約30カ国から集う学生の人種は多様で、グローバル・シチズンシップを学ぶ。
同校のコアバリューは「リスペクト&オープンネス」。授業外でも、毎朝、約100名の全学生を教室に集めて、朝会を行い、世界のニュースをシェアしたり、歌を歌ったりする。年齢、人種を超えて学生たちが密な関係を築くとき、コアバリューは不可欠になる。さまざまなバックボーンをもつ人たちが一堂に会する「学校」だからこそ、他者を尊重し友人関係を築く中で自分自身を見つめる機会にも直面する。一人ひとりが内省するための時間を持つ場所として存在しているのだ。
(前編)