東京国立近代美術館が「対話鑑賞」に注力 アートxビジネスパーソンが盛り上がる理由

(参考画像、Getty Images)


「対話鑑賞」参加者の感想

今回のイベント企画にあたり、トライアルとして開催した山口周氏との対話鑑賞プログラムへの参加者の満足度は一様に高かったという。参加者は30代、40代が中心。参加者の性別割合はほぼ1対1で、各10名の定員にて3回開催された。参加したのは意識の高い大人だったと推察されるが、一條氏によると必ずしもアートに通じている人ではなかったそうだ。

人材関係企業勤務の参加者は「AIにない人間の素晴らしさを実感できた」と話し、医師を生業とする参加者は「患者さんに対する説明に極めて有用であると思った」との感想。

6月22日に開催されるワークショップでは、各グループにファシリテーターが参加し、グループで3つの作品を鑑賞する。鑑賞後には山口周氏による講義が行われ、書き下ろしのテキストが配布される予定だ。

アートには正解・不正解がないという前提のもとで行われる自由な発想や解釈を共有する3時間のプログラムは、大人の贅沢ともいうべき特別な時間になるだろう。

「ダイアローグ イン ザ ミュージアム」は、なんと申し込み開始日の5月23日に定員30人の枠が全て埋まってしまったという。反響の高さが感じられる。今後も同様のプログラムを開催予定とのことなので、次回の募集にさらなる期待が高まる。

「美術を知らない人ほど、自由に発想ができる」という一條氏の言葉を信じてアートの世界にダイブしたら、オフィス街大手町からほど近い竹橋に、新しい魅力を見いだせるかもしれない。

文=森屋千絵

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