I write about interesting Chinese companies

Photo by Spencer Platt/Getty Images

中国最大のビデオストリーミングサービス「iQiyi(愛奇芸)」は、積極的に事業領域の拡大を図っている。しかし、アナリストの多くは、同社が今後数年で成果を出せるか疑念を抱いている。

米ナスダックに上場しているiQiyiは、これまで「中国版ネットフリックス」と評されることが多かったが、最近ではオンラインゲームの開発に数億ドルを投じるなど、事業の多角化を図っている。時価総額が約136億ドル(約1兆4700億円)の同社は今後、オリジナル映画の制作やキンドルのような電子書籍ストアの展開、短編動画プラットフォームの見直しなどを計画している。

iQiyiは、それぞれの事業領域において、トップ3のシェアを獲得し、人気タイトルのIPを複数のフォーマットで展開することで幅広く利益を獲得したい考えだ。

「我々は、ワンストップのエンターテイメント・プラットフォームになることを目指している。ユーザーが本を読んだり、ゲームをするために我々のプラットフォームから離れなくても済むようにしたい」とiQiyiでチーフ・コンテント・オフィサーを務めるWang Xiaohuiは話す。

この考えを実現するため、iQiyi は昨年3億ドルを投じて中国のモバイルゲーム・デベロッパー「Skymoons」を買収し、3月にスマホゲーム「The Croods」をリリースした。このゲームのタイトルは、ドリームワークスの同名アニメ映画に由来する。アップアニーによると、The Croodsは中国のアップストアにおいて、ロールプレイングゲームのダウンロード数で29位にランクされている。

iQiyiは、他の分野への投資も加速させている。現在制作中の6本のフィーチャー映画には、それぞれ最大730万ドルの資金を投じ、3年以内に上映する予定だという。また、ショート動画アプリを担当するチームを再編し、よりエンターテイメントに特化したサービスに変えていく予定だ。

この市場は、ダンスやジョークなどを撮影した15秒のショート動画を投稿するSNS「TikTok」が独占しており、MAUは5億人に達する。TikTokの運営会社で、北京に本拠を置く「バイトダンス(Bytedance)」の直近ラウンドにおける評価額は750億ドルに達し、世界で最も評価額の高いスタートアップとなった。

検索大手「バイドゥ」の動画事業

iQiyiの筆頭株主は、中国の検索大手「バイドゥ」だ。iQiyiは、中国のオンラインビデオ市場において、「テンセントビデオ(Tencent Video)」やアリババ傘下の「Youku Tudou(優酷土豆)」と熾烈な競争を繰り広げており、コンテンツコストの上昇などにより損失が膨らんでいる。今年の1Qには、売上高が対前年比43%増の10億ドルに達したものの、営業損失は前年の1億6000万ドルから3億200万ドルに拡大した。新たな収益源を追求する背景には、こうした厳しい財政事情がある。

それでも、前途には明るい兆しも見えている。かつて無料の海賊コンテンツがはびこっていた中国市場において、同社の有料契約者数は飛躍的に増加している。1Qの有料加入者数は9680万人で、売上高は5億1340万ドル(約556億円)だった。一方、テンセントビデオの契約者数は8900万人で、Youku Tudouは契約者数を公表していない。

それでも、Wangによると現状の契約者数はコンテンツの制作費やライセンス費を賄うには不十分だという。「我々は、マネタイズを図るために新たなビジネスモデルを構築する必要がある。ユーザーが費用対効果に満足するためには、サービスと製品のラインナップを拡充する必要がある」とWangは話す。

アナリストらは、iQiyiの野心的な拡大路線に慎重な見方を示している。「拡大するには時間を要する。彼らは、自らの実力を証明する必要がある」と上海に本拠を置く調査会社「86 Research」のアナリスト、Zhang Xueruは指摘する。

Zhangによると、新規事業がiQiyiの利益改善に貢献するのは当分先のことになり、少なくとも来年までは赤字が継続する見通しだという。

政府の検閲で「発禁」のコンテンツも

iQiyiは今後、コンテンツ制作に注意する必要がある。今年初めに、同社が配信する番組で最も人気の高い「Yanxi Palace」が当局の圧力により配信停止に追い込まれたのだ。その理由は、このドラマが宮廷生活の豪華で快楽主義的なライフスタイルを美化しているというものだ。オンラインでは今でも視聴することが可能だが、今後同様のテーマを扱ったコンテンツを認めないという当局の姿勢は明らかだ。

Wangは、今後コンテンツを多様化して成長を図るつもりだ。例えば、最新のバラエティ番組「The Big Band」は人気チャートで首位に躍り出ており、中国版ツイッターの「シナ・ウェイボー(新浪微博)」の関連トピックスは、これまでに3億3000万回閲覧されている。

「我々は様々なテーマやトピックを調査し、番組制作を計画している」とWangは語った。

編集=上田裕資

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