CASE 3 HUBUD
休息×働く=真のワークライフバランス
インドネシア・バリのモンキー・フォレストというジャングルの近くにある「Hubud(フブッド)」は、コワーキングリゾートとして知られている。30カ国以上のワーカーに愛される、デジタルノマドの聖地だ。その理由は、竹林でつくられた建物に、田園風景が広がるテラスが併設され、南国の風を感じながらリゾート気分で働くことができるから。コンセプトは「働き方とライフスタイルの自由を実現する革新的なスペース」。
バリ島の起業家やフリーランサーが集まるコミュニティ形成に注力しているため、個室は会議室のみで、オープンスペースがメイン。平日は100人以上が訪れ仕事をしているという。2018年には400を超えるイベントが開催され、数多くの交流がここから生まれた。これも彼らのDNAを表している。
真のワークライフバランスを体現し、世界中のワーカーが「いままでで一番素敵なコワーキングスペース」と滞在期間を延長することもある。
CASE 4 NEW LAB
「コラボラティブ」に未来を定義していく
1900年代築の造船所をリノベーションしてつくられた、アメリカ・ニューヨークにあるコワーキングスペース「New Lab(ニュー・ラボ)」。造船所ならではの天井の高さ、7800平方メートルの広々とした施設には、造船所のクレーンとともに、溶接やレーザーカッター、大型3Dプリンターといった最先端テクノロジー機器が並んでいる。
入居者は、ロボティクスやAI、エネルギー、都市技術、宇宙探査、ナノテクノロジーまで幅広く「ものづくり」を行い、未来をつくるハードウェア・スタートアップが集う。とはいえ、New Labへの入居を許される企業は、応募の2割程度と、「ニューヨークのものづくりを変えよう」とする強い意気込みを感じる。2016年9月の開設以降、すでに100社を超える会員企業が入居し、これまでに4億5000万ドルの資金調達に成功。「コラボラティブ・ワークスペース」と自らを定義し、新たなNYを切り開いている。
CASE 5 DOKK1
13年に及ぶ議論が「世界最高」を生んだ
デンマーク第2の都市オーフスにある公共図書館「DOKK1(ドック1)」は国際図書館連盟から「世界最高の公共図書館」と評された。DOKK1が設立されたのは2015年。完成までに要した期間は17年。そのうち13年は、市民をはじめさまざまなステークホルダーとの対話と合意形成に費やした。「どんな図書館にしたらよいのか」というビジョンづくり、それを実現するための具体的なアイデアのプロトタイピングづくりをさまざまな人々を巻き込み行った。
現在、1日5000人もの市民が訪れ、性別も年齢も宗教も政治的信条も超えて人々が集まれる民主的な(デモクラティック)スペースとなった。家族連れも、学生も、ホームレスの人々も、同じテーブルに座っている。これが、DOKK1が最も大切なことだという。 「知識は皆に無料で与えられるべき」という図書館の意義の進化が見える。もはや、知識や文化にアクセスできるだけの場所ではない。