世界で広がる「新しい働く、学ぶ」9選(前編)

『Forbes JAPAN』と、「はたらく」を考えるビジネス誌『WORK MILL』との二誌合同企画。同誌編集長・山田雄介と訪れた、世界の「新しい働く、学ぶ」を実践している場の中から、9カ所を選定した。一人ひとりが100年「アントレプレナー」であり続けるために、いま、私たちが学ぶべきことは何か。見えてきた答えは、「It starts with you(すべては「私」からはじまる)」という自分起点であることの大切さだ。


CASE 1 FOREST KIDERGARTEN



「あなたはどう思う?」3歳から問い続ける

地面に横たわる大木によじ登る子どもや広い原っぱを駆け巡る子どもたち。デンマークにある「森の幼稚園」では、雨の日も雪の日も天気に関係なく、3〜6歳の子どもたちが一年中森に出て行き、一日の大半を過ごす。子どもたちは、四季の変化や天気によって森の表情が変わることを目の当たりにしながら、自然のなかにあるものを使っていかに遊ぶかを考える。

「自由に遊びながらクリエイティビティを豊かにすることと、子どもたちがお互いに助け合うことを身につけるのが、森の幼稚園の教育目的です」と園長は話す。保育士は、子どもたちの力を信頼し、問題が起きたとしても、解決策を教えるのではなく、常に「あなたはどう思うの?」と問いかける。自分で考え、答えを見つけ出す力を養うのだ。

「遊びのなかで生きる力を養っていくことが、教育につながると信じています。読み書きといったスキルは、どのみち学ぶことになりますから」

CASE 2 IMPACT HUB



問い+行動=社会インパクト

世界中に点在する大規模なコワーキングコミュニティ、「Impact HUB」。イギリス・ロンドンで2005年に開設してから、いまや世界50カ国以上、準備中を含めると100カ所以上でコワーキング施設を展開している。ここKing’s Crossを含め、ロンドンだけでも4カ所あり、日本でも東京と京都の2カ所に拠点をもつ。

どこか1カ所のメンバーであれば、世界中どこでも利用できるため、各拠点を「旅するように」移動するワーカーも多い。世界各国の拠点を回り、各地で仲間集めをしながらビジネスを拡大している人たちもいる。メンバー間でやりとりができる専用のアプリケーションがあり、協働が起きることもしばしばあるという。

東京の拠点には、社会にインパクトを生み出そうとする人たちとの対話を通して導き出した方程式である「Questioning(問い)+Action(行動)=Impact(社会インパクト)」が大きく描かれている。
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編集=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 100年「情熱的に働き、学び続ける」時代」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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