閉鎖する大規模店は、ニューヨーク・ソーホー地区の建物の4フロアを占有する「ホリスター」のほか、イタリア・ミラノと福岡にある「アバクロンビー&フィッチ」。同社はまた、香港の旗艦店も閉鎖している。
(香港を除く)これらの店舗とすでに閉鎖したデンマーク・コペンハーゲンの旗艦店の売上高が2018年度年の同社の総売上高(約36億ドル、約3900億円)に占めた割合は、1%未満だった。一方、各店の閉鎖に関連して同社が2019年度第2四半期に計上する一時費用は、およそ4500万ドルに上る見通しだ。
A&Fの最高財務責任者(CFO)は決算発表で、「旗艦店は売上高と利益のどちらにとっても重荷になっている」と説明した。当面は運営を続けるその他の15店舗も、業績に悪影響を及ぼしているという。ただ、その他の旗艦店に関する今後の計画については詳細を明らかにしておらず、「どの店舗にもそれぞれの状況がある…特効薬はない」と述べるにとどめた。
人通りの多い地区にある旗艦店は多額のコストがかかる一方で、必ずしも利益や売り上げに直結するものではない。その厳しい現実に直面して閉鎖を決断するというのは、小売業界ではよくあることだ。GAPやラルフローレン、百貨店ロード&テイラーなども、ニューヨークの5番街にあった旗艦店を閉鎖している。
方針転換が奏功
A&Fはフラン・ホロウィッツ最高経営責任者(CEO)の就任後、店舗を明るいイメージに変え、以前はアバクロンビー&フィッチの特徴でもあったトップレスの男性ストア・モデルの配置をやめた。
セクシーさを前面に押し出していた販促キャンペーンもやめ、あらゆる消費者に向けて健康的なイメージを打ち出す方針に変更。10代とミレニアル世代の顧客の意見を積極的に取り入れようとしている(これもまた、小売業界ではよく見られる行動だ)。