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2019.06.01 10:00

椅子を星に変えた? 次世代の家具職人集団


コニカミノルタプラネタリウムと手を組んだのは、「Kairos & M」がきっかけだ。ウェブサイト上で丸い曲線を描くソファ「TONDO」を見つけた同社のデザインチームが、実物を見にミネルバを訪れたのだ。「TONDO」は、クッション素材のウレタンを成型して丸形を実現するため、FRP(繊維強化プラスチック)で部分的に発泡型をつくるなど、業界の常識に捉われない離れ業で製作した作品。「素材の供給元からは当時、『こんなことをやっている家具メーカーは他にない』と言われました」と宮本は話す。

ミネルバ社長 宮本しげる

惚れ込んだデザインチームは、東京・墨田区の「コニカミノルタプラネタリウム“天空”in 東京スカイツリータウン」に導入する特製シートの共同開発を持ちかけた。一般的なソファは、座面部分の前から後ろに向かってなだらかな傾斜をつけるが、宮本はプラネタリウム鑑賞に特化したシートにすべく、あえて逆方向に傾斜つけた。さらに、クッション材を硬いものから順に重ねていくことで、体をしっかりホールドしつつ、包み込むような座り心地を実現した。

信頼を得たミネルバはその後、東京・豊島区のプラネタリウム施設のシート修理・修復にも協力。第三弾として冒頭の「銀河シート」共同開発に至った。ここで宮本は、西陣織の老舗・細尾の素材を座面に提案し、シートを宇宙空間の一部に見立てて、「プラネタリアTOKYO」のテーマである「きらめく銀河につつまれる新体験」の演出に貢献した。

「家具メーカーのイメージを変えて、型破りがしたいんです。違う切り口でいろんな見せ方をすれば、別の業界を盛り上げることだってできる」と宮本は話す。「Kairos & M」のコンセプトは「心を彩る時間」。自社ブランドの立ち上げは、異業種連携に実を結び、ミネルバは家具メーカーの枠を超えて、人々に特別な時間を届ける会社に進化した。

文=眞鍋 武 写真=岩沢 蘭

この記事は 「Forbes JAPAN 100年「情熱的に働き、学び続ける」時代」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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