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2019.05.31

眠った遊休林を「遊び場」に フォレストアドベンチャーの挑戦

地方自治体や地域企業から声がかかり、日本全国に30施設を超える。


フォレストアドベンチャーの全ての施設は、人工林の再活用だ。「自然共生型」を掲げるでうえで、一つ一つの樹木を大切に、できる限り樹木への負担を抑え、活かすように努めている。そのため、仮に撤退しても、元の森に戻すことが可能になる。


また、重要なのが、「樹木が枯れず、健康な状態」を保つことである。健康な樹木で取り組まないと、事業自体がダメになる。そのため、新しい施設を導入する際には、樹木の診断・治療を行う樹木医に見てもらうなど、木々の確認や管理は怠らない。

開設できる土地は100分の1程度

「日本で一番多くの多くの森と向き合っているかもしれない」と語る金丸氏。立上げ初期は、施設として活用できそうな森林を主体的に探していたが、現在は立場が逆転。日本全国から遊休林を再生してほしい、新たな観光地を作りたいという問合わせが急増し、町営や村営の森林を多く訪れている。

とはいえ、断っているケースの方が圧倒的に多い。それに、100の森林を見ても、再活用できるのは1つ2つ程度なのだ。人工林であっても活用できる木や地形は多くない。


森林をできる限りそのままに「遊び」にしている

年間約50万人が体験に来るほどの施設になった。ファミリー層が多いと思われがちだが、実は意外と20代のグループが多いという。特に男性よりも女性に人気である。大人は冒険心がくすぐられ童心に帰ることができ、子どもは普段ではできない挑戦を繰り返すことで成長できる場所になる。

金丸氏は、「木の上に登るドキドキや楽しさはもちろん、触れる機会が減ってしまった森を見る機会を少しでも増やしたい」と語る。

今後は、マウンテンバイクを初心者でも楽しめる「トレイルアドベンチャー」の設置を視野に入れている。これまでに、木々のコンディションが合わずフォレストアドベンチャーのみが楽しめた森に、マウンテンバイクトレイルを付け足すことで、より多様な遊びを提供できる可能性があると考えている。眠っている遊休林をさらに遊びへの発展していく予定だ。



連載:「遊び」で変わる地域とくらし
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文=内田有映

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