旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」

南アフリカ産のエキゾチックレザーを使ったの革小物のブランド「オカピ(Okapi)」

高級ブランド大手LVMHが開催する若手ファッションデザイナーの育成・支援を目的としたLVMHプライズの今年のファイナリストに、アフリカ大陸から2名のデザイナーが選出された。同社によると、6年目となる今年の応募は過去最大の1700通。世界100カ国以上からの応募があり、8名ファイナリストが残った。

「ファイナリストに2名のアフリカ人が選出されたという事実は、アフリカ大陸でいま何かが起きているという兆候を示している」と、インターナショナル・ヴォーグ・エディターのスージー・メンケスは言う。

そのファイナリストの1人が、ヨハネスブルグを拠点に活動する南アフリカ人デザイナー、テベ・マググ(Thebe Magugu)。自らの名前を冠したブランドを展開する彼は、南アフリカ・キンバリー出身の26歳。同国のファッションスクールLISOFを卒業後、3年前にブランドを立ち上げた。

「ファッションは才知に優れた知的な業界です。私は教育に対して非常に大きな敬意を抱いていて、過去のコレクションは、全て大学の科目に習ったネーミングになっています」とマググはメンケスとのインタビューにおいて自身のブランドについて説明する。

彼の最新コレクションの名前は「アフリカ学」。自らの文化が持つモチーフや柄に、より進歩的な形やプロポーションを組み合わせるなど、過去と未来の要素を並立させ、融合させることが、彼なりの「アフリカ学」の表現だ。アフリカの多様な文化やデザイン要素は一義的には表現できないからこそ、こうした表現が生まれるのだと言う。

トレーサビリティがラグジュアリー

メンケスが注目するのはマググだけではない。彼女がホストを務めるコンデナスト・インターナショナル主催のラグジュアリー・カンファレンスは、5年目の今年は南アフリカのケープタウンで開催され、世界のラグジュアリー業界の重鎮が「アフリカの視点」に関する理解を深めた。

会議のオープニングセッションでは、南アフリカを代表する2つの対極的なブランドが紹介された。一つは、南アフリカ産のオーストリッチ革やワニ革を使ったバッグと革小物のブランド、オカピ(Okapi)。もう一つは、南アフリカ産のモヘア(アンゴラヤギの毛)使ったニットブランド、マコサ・バイ・ラデュマ(MaXhosa by Laduma)だ。

オカピは、起業家ハネリ・ルパート(Hanneli Rupert)が2008年に立ち上げたブランド。産地が追跡できる素材とクラフトマンシップにこだわったハイエンドな商品を展開する。


Condé Nast International Luxury Conferenceに登壇したハネリ・ルパート(c)コンデナスト社

南アフリカ生まれのルパートは、高級ブランドグループ「リシュモン」の会長であるヨハン・ルパートを父に持つ。イギリスで絵画を専攻したが、卒業後は自国に戻って事業を立ち上げた。彼女は、オカピのほかにアフリカ製のブランドのみをセレクトしたケープタウンのブティック、Merchants on Longのクリエイティブ・ディレクター兼バイヤーでもある。

文=MAKI NAKATA

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