ビジネス

2019.05.29

無人コンビニが変える世界 サービスは「愛」で支える

アプリコット・ベンチャーズの白川智樹(左)と600の久保 渓(右)

久保渓は2017年6月、オフィス向け無人コンビニ事業を行う600(ろっぴゃく)を創業した。本体は幅60cmとコンパクトで、お菓子やドリンク、カップラーメン、お弁当までと幅広い商品が並ぶ。付属の専用端末にクレジットカードを通し、扉のカギを開け、好きなものを取り出すと自動的にカード決済される仕組み。18年6月のサービス開始以来、50カ所に設置した。

白川智樹が代表取締役を務めるアプリコット・ベンチャーズは18年5月に投資を実行し、支援をしている。


白川:二人が仲良くなったのは、1985年生まれの人たちが集う「85会」。当時、久保さんは、WebPay創業者(2015年2月にLINE傘下へ)。前職サイバーエージェント・キャピタルの投資先でした。米国で起業したというハングリー精神溢れるストーリーを持ち、その後に創業した決済という難易度の高い事業でも洞察力があり、強いエンジニア集団を築いていた。印象的な起業家でした。

久保:僕の白川さんの印象は、相談をしたら、本当に率直に、誠実に返答をしてくださる投資家。当時は利害関係がないにもかかわらず、腹を割って話しにくいことも、僕のためになるだろうと話をしてくれる。

600を創業し、僕ひとりの時から、「愛」「誠実さ」「責任感」「柔軟性」「仲間を助ける利他性」「局面を変える力」という6つのバリューを定めました。白川さんはそれら全てを持っている。だから、2人目の社員として「入社してくれないか」と誘いました。やんわりかわされましたが(笑)。

白川:違います(笑)。「僕も独立予定なので投資をさせてください」とお願いしました。18年4月に立ち上げたファンドの方針は、シード・エンジェルラウンドから関わらせていただく。投資させていただいて後悔しない起業家に出資することです。

久保さんは、連続起業家で、かつ、注目していた分野の無人コンビニということで、投資させていただきました。無人コンビニはハードウェア、ソフト面の対応、マーケティング、物流とマネジメントが多岐にわたります。それができているところに起業家としての凄みを感じます。
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文=山本智之 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 地方から生まれる「アウトサイダー経済」」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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私がこの起業家に投資した理由

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