従業員エンゲージメント調査の有効利用 問題を絞ることが課題

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私は数週間前、ある中規模金融企業から集めた従業員エンゲージメント調査のデータを統計分析した。その結果、私は同社の従業員の忠誠心の57%が、ある問題に左右されていたことに気づいた。それは、従業員が仕事に関する問題を上司と共有することに安心感を感じていたかどうかだ。

また、ある病院の研究者らは先日、これと似たような分析を実施した。その結果、従業員エンゲージメントの61%は、人事評価が開放的で正直なものであるかどうかで説明がつくことが分かった。

さらに、私は数日前、あるテック系企業の従業員エンゲージメントの54%がある問題に左右されていたことに気づいた。それは、年間目標を達成するために従業員が新たなスキルを学ばなければならないかどうかだった。

従業員エンゲージメントに関し、他の問題よりもはるかに重要な1つあるいは2つの問題を特定することには時間はさほどかからない。

私の会社で働く従業員のうち、忠誠心の55%を動かしている要因が会社の理念を理解しているかどうかだとすれば、他の問題の解決に時間をかける理由はない。この点に全ての努力を捧げることで、10個以上の他の問題を解決しようとするよりもはるかに大きな効果が得られるかもしれないからだ。

機械学習を活用し、より多くの質問をする

私たちは先述の調査の例で、機械学習と重回帰分析を通して従業員エンゲージメントを左右する大きな問題を発見した。こうした技術は現在広い範囲に普及しているため、1つの問題を改善すれば十分なのに7つの問題を改善しようとする理由はない。

こうした技術を使えば、調査の質問事項が多過ぎるのではと心配せずに済む。取り組む課題を多く設定し過ぎないようにすることは必要だが、20~35ほどの質問をしても全く問題ない。調査のデータを集めて重回帰分析にかければ、他の問題よりもはるかに重要な1つ、あるいは2つの問題をすぐに見つけることができる。改善の努力は全てそこに集中させること。

調査における質問数を心配する一方、調査の後に作る作業部会の数について十分に配慮できていない企業の数は多い。これは根本的に逆なのだ。

対策を取る問題を絞る限り、調査ではいくつ質問してもよい。対策を取る問題は、従業員エンゲージメントに最も大きな影響を与える課題に絞るのが理想だ。

企業の78%が、従業員エンゲージメント調査結果を基に良い成果を残せていないことを考えれば、他のやり方を試すことが必要だ。他の運用上の取り組みと同様、従業員エンゲージメントに関する取り組みにも優先順位をつけるのが良い開始点となる。

翻訳・編集=出田静

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