従業員エンゲージメント調査の有効利用 問題を絞ることが課題

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私が創業したコンサルティング企業「リーダーシップIQ(Leadership IQ)」が行った調査では、従業員エンゲージメント調査の結果から良い成果を残せていない企業は78%に上ることが判明した。

リーダーシップIQのインターネット調査「How Good Is Your Employee Engagement Survey?(あなたの勤務先の従業員エンゲージメント調査はどれほど良い?)」には、4000人以上の人事担当役員が回答した。質問の一つは「過去2年間で、あなたの企業の従業員エンゲージメント調査のスコアはどのように変化しましたか?」で、回答者は次の4つの選択肢を与えられている。

1. 定期的に調査をしなかったため分からない

2. 調査のスコアは大きく変わらなかった

3. 調査のスコアは下がった

4. 調査のスコアは以前低かったが大きく向上した/調査のスコアは高い数字をそのまま維持した

良い成果が出たことを示しているのは4番だけだ。そして残念なことに、4番の回答を選んだ人事担当役員はわずか22%だった。

ではなぜ、従業員エンゲージメント調査はこれほど無残に失敗しているのだろう? 理由の一つは、あまりに多くの問題を一度に解決しようとしている企業が大半を占めていることだ。

従業員エンゲージメント調査で14の質問をしたとしよう。その中の7つの質問で企業が低い点数を記録したら、普通の会社は「それでは、この7つの問題を解決する必要があるのだろう」と考える。問題はここにある。

平均的な管理職の優先事項には通常、利益性や品質、顧客満足度、生産性、その他会社から与えられるあらゆる基準を達成することがある。管理職はさらに、対立の解消や新入社員の採用、人事評価の実施、成績が振るわない社員の管理、業務の振り分けなどあらゆる仕事を任せられている。

ほとんどの管理職はこうした優先事項を頭に置いた場合、従業員エンゲージメントをどこに位置付けるだろうか? 従業員エンゲージメントの優先度は、ほぼ最下位に近いだろう。もしかしたら全くリストに挙がらないかもしれない。それなのに、管理職に7つの問題を解決してほしいなど無理なのだ。

他よりも優先度が高い問題は必ず存在

リーダーに対しあまりに多くの問題解決を求めれば、それは失敗してしまうだろう。全てのことを達成しようとすれば何も達成できないからだ。しかしここには、他にも間違った推論がある。

企業には、他よりもはるかに重要な関係者や顧客が複数存在する。(ほとんどの会社では、重要性と利益性が特に低い顧客との関係を絶つことで良い効果が生まれる)。従業員エンゲージメント調査にも同じ論理が当てはまる。
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翻訳・編集=出田静

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