#醸し人


──オートバイにおいては、どのような展開が考えられそうですか。

オートバイに乗っているとき、脳波が活性化することは科学的に証明されています。身体がさまざまな動作をしていることはもちろん、それ以上に人間の能力以上のスピードで走っていることが、ひとつの要因だと思います。

加えて、風の匂いや音を感じたり、寒暖をより強く体感したりと、あらゆる角度から五感が刺激されている状態なのです。ランニングも効果的らしくて、例えば時速9km以上で走ると海馬が活性化されると言われています。それぐらい、走ることに没頭するからなのでしょうね。

没頭することで脳が活性化し、何かが、例えばアイデアや眠っていた能力がむっくり開花する瞬間があるのだと思います。弊社の商品を通じて、そんなシーンを増やすことができたら嬉しいですね。

ビジネスを超えての未来の創造

──東南アジアでの配車サービス最大手のGrabとの業務提携及び出資をはじめ、世界各地にも活動の幅を広げていますね。事業パートナーを決めるうえでの基準はあるのでしょうか。

Grabは、「明日ある人の生活を良くしたい」というミッションのもと、バイクタクシードライバーの生活水準を上げる取り組みをしています。

今回の事業提携を通じて、弊社はドライバーの運転技量の向上やその測定を行い、彼らの能力や信用性を構築すると同時に、お客様には「安心・安全」をデータとして見える化し、満足度を高めるための取り組みをします。

それが実現すれば、ドライバーの収益安定化が見込めると同時に、今後のモビリティシステムにおける二輪車の価値をさらに向上させることが期待できます。

要するにビジネスの枠を超えて、お互いの理想とする未来が創造できると判断したのです。お金だけの関係性では続けられない。その点で、Grabが他社と異なることは明らかでした。

人間ありきのビジネスなので、文化は違っても、美意識(センス)や価値観が合うことが大切です。同士的結合で協業する場合は、お互いにビジネスの先を見るので、仮に目先で失敗しても続けていくというモチベーションが継続されます。

──ARTを掲げるのと同時期に、新規事業開発を進めながら、売上高2兆円を目指す方針も発表されましたね。

これは成長を求められる会社として、当然、追うべき目標です。

ここまで話してきたスローガンは、「どうやって」成長するのかを示す指針になるものだと思います。ロボティクスやモビリティなどの技術を、私たち人間の能力開花に生かすため探求するというフェーズにいるという点で、従来とはめざし方が違います。



──一方で大きな金額が掲げられると、どうしてもそちらに気になってしまう自分がいます。

そこに私の役割があると思っています。一風変わったことを言い続けながら、2兆円に貢献しようとする奴がいるという(笑)。相反する難しさを、どう乗り越えるのかが肝心なのだと思います。

既存のやり方でいくなら、私でなくて良いとは思うのです。しかし、そこを任されているということは、新たな挑戦が必要とされているのだと、勝手に使命感を持っています。

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=藤井さおり

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい