News Runs Through It


ペイウォールシステムは、「結局ユーザーが無料記事だけを読んで終わる」などの批判的な声も聞かれるが、ウェッブはこの取り組みを「これも一種のコミュニティ作り」と、評価する。

「正直、このシステムが成功したのは驚きです。これはコミュニティにフォーカスした仕組みだから受けているんだと思います。読者が『自分たちが媒体を支えている』と感じられるのでしょう。ニューヨークタイムズは『理性の声』としての地位を確立しているし、ガーディアンは責任と信頼のある存在として認められています。『コンテンツを得たくて金を払う』のではなく、『そのコミュニティに入りたい』という意識が人々の間で働いているのだと思います」

目指すはアンダーグラウンドなアーティスト

今後はポッドキャストやドキュメンタリー動画などのフォーマットでもジャーナリズムを追求したいというが、決してGoogleニュースやFacebookなどのプラットフォームに頼るつもりはない。ウェッブは「彼らは(コンテンツ制作者へ)リベニューが届くモデルを未だに示せていないですよね。時間とお金を投資して作ったコンテンツをそういう場に出すのは、僕たちの購読者を増やすことには繋がらない」と言い切る。

またSNSでの記事発信に関しても、「僕らの記事は長文で、ストーリーが複雑です。ソーシャルメディア上での議論は口論になりがちで、シェアするにはふさわしくないプラットフォームだと思っています」とあまり気にしない。

金と時間をかけて良い記事を書いても収益につながるとは限らない──。収益を上げるためにはSEO対策やタイトルの誇張、文字数の調整が欠かせない──。

こうした考えは現代のメディアにとって、生き残るのに必要な「避けて通れないこと」になってはいないだろうか。

だがウェッブは、「マイナーだけど愛されているアーティストがいるでしょう。そんな存在を目指したいのです」と、身の丈にあった生き残り方法を模索している。

DGのコミュニティ重視の取り組みは、ジャーナリズムに限らず、「安く、早く、分かりやすい」サービスがあらゆる業界で求められる現代において、課題解決のヒントになるかもしれない。

文=鷲見洋之

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